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中国のマーケティング失敗例―「偽日本風マーケティング」とは?「日本」はリスクにもなりうる

こんにちは!ちゃいなサプリのYukiです。

中国ビジネス情報誌『销售与市场』第711期に紹介された記事から紹介します。

動画版はこちら

【原料は日本の福島県産】

原料は日本の福島県産】このように打ち出した商品が波紋を呼びました。それは农夫山泉:nóng fū shān quánという中国のミネラルウォーターを販売するブランドでした。

中国に来たことのある人はこのペットボトルに見覚えがあるのではないでしょうか?

中国のマーケティング失敗例

この会社は〈自然・健康〉をキャッチコピーに1996年に中国浙江省杭州市で設立されました。

そして、2021年4月に新たな商品としてソーダ水を発表したのです。

中国のマーケティング失敗例

そしてこの中のピーチ味ソーダが話題を呼んでいるのです。

中国のマーケティング失敗例

白桃の原産地が日本の福島県であるとしてマーケティングをしたわけですね。いわゆる、原産地マーケティングです。

メイド・イン・ジャパン戦略

中国ではメイド・イン・ジャパンはやはり一つの売りとして使われることが多いですから、福島県産の有名な白桃を売りにすることは自然な流れだと言えます。

福島県産のももは海外でも有名のようですね。みなさん食べたことありますか?

皇室献上品に選ばれているそうです。それほど素晴らしいものであるなら宣伝材料として大きくアピールするのも無理はないですよね。

この桃を使ったジュースがどれほどおいしいか試してみたいです!

また他のフレーバーでは日本の宮崎県産の日向夏みかん味もあります。

中国のマーケティング失敗例

日向夏みかんのサイダーは日本でも売られていますね。ぜひ飲んでみたいものです。

※ちなみに福島県産ATAKUTI(あたくち?)と書いてありますが、おそらくこれは「あかつき」の間違いでしょうね。

福島産桃の主力商品が「あかつき」という桃らしいです。調べましたが、「あたくち」という名前の桃はありませんでした。

中国のマーケティング失敗例

もともと福島からの輸入は禁止だった

2011年に東京電力福島第一原発の水処理施設から放射能汚染水が漏れたことが発覚して、中国当局は3月24日“为确保输华食品农产品安全:wéi què bǎo shū huá shí pǐn nóng chǎn pǐn ān quán”という農産物の輸入安全に関する規定で日本の福島県・栃木県・群馬県・茨城県・千葉県から乳製品や野菜類、果物類、海産物などの輸入禁止を発表しました。

そしてこの規定は現在も有効だそうです。

さらに2021年4月13日に政府は以下のように処理水タンクの水を薄めて30年かけて海洋に放出するという方針を打ち出しました。

中国のマーケティング失敗例

ただ方針が決まっただけで、放出はされていません。

しかし、中国ではネット上でヤバい汚染水をだぶだぶ海洋に垂れ流しているとジャパンバッシングする人も多いのが現状です。

もちろんこれは日本を攻撃するのにはいい材料ですもんね。

ちなみに私が持っている中国動画サイト「ビリビリ」のアカウントには、悪口やら誹謗中傷がおくられてくることも多いのですが、最近では「汚染水飲んでろ」とか「汚染水飲み過ぎでこんな顔になったんだ」などというものも増えました…。

私のビリビリも興味ある方はぜひのぞいてみてくださいね!こちら¬Yuki在中国

ネット民の反応

ネット民は农夫山泉:nóng fū shān quánに対して、

「輸入が禁止されているものを原産地として宣伝している。」
「汚染されたものを消費者に提供するなんて!」
「この白桃は価格が高い。これを原料にできるわけがない。偽の宣伝だ!」

と怒りを爆発させたわけです。

中国のマーケティング失敗例


それに対して、农夫山泉:nóng fū shān quánの回答は

この福島県産の桃は20年以上前に中国に輸入されたものを研究して引き継いだもので、材料として福島から輸入したわけではない。

輸入していないのに嘘の宣伝で消費者をだまそうとしたと消費者の怒りを買い、株価は暴落して一気に3000億元(5.1兆円)が蒸発しました。

法律違反?

中华人民共和国广告法:zhōng huá rén mín gòng hé guó guǎng gào fǎ》と呼ばれる広告や宣伝に関する法律の第四条には嘘の宣伝内容や消費者に誤解を与える内容は禁止されていて、さらに第八条には商品の生産地を正確に表示することが求められています。

偽日系ブーム?

さらに似たような広告や名前の商品も指摘され始めています。例えば、以前紹介した炭酸水ブランドの元气森林:yuán qì sēn lín。動画を撮影したときの写真がこちら↓

中国のマーケティング失敗例

大きい「」の字が目に入りますね。これも法律違反だとされました。
なぜだかわかりますか?

この「」は日本語だけなのです。中国大陸で使われる簡体字は「」で台湾や香港で使われる繁体字は「」です。

またペットボトルの後ろには“日本国株式会社元気森林监制”と書かれていて、あたかも日本産であるかのように消費者に誤解を与えているとされました。

中国のマーケティング失敗例


そして会社名の変更を余儀なくされました。

元気森林

気→气に変わっただけですが。

ちなみに英語名はGenki Forestですから、すでに日本語ですよね…。
くわしくは以前の記事を御覧ください↓↓
>>中国のトップブランド!新感覚の炭酸飲料『元気森林』コーラよりおいしいと評判!

ほかに指摘されているのは↓↓

中国のマーケティング失敗例

この「燃」も 中国語ではありません。日本にありそうな商品ですよね。これも同じ会社の商品です。

さらにヨーグルトも日本産であるように誤解させると指摘されています。こちらも同じ会社。

左のものも「」は簡体字ではありません。ちなみに簡体字は「
真ん中のも広島大学の名前が出ています。

パッケージも日本の製品を真似た感じだと言われています。
右のものは明らかですね。北海道という製品名。

しかし全て中国国産なのです。
ヨーグルトのマーケティングも以前紹介しました。

こういった広告の打ち方は“伪日系:wěi rì xì”といいます。偽日本風ということですね。イメージ・印象・信頼度を上げて、さらには値段を高めにしても売れていくのです。

こういった商品はよく見かけますけどね。よくわからない日本語が書かれている商品とか、あとよく見かけるのは商品に「の」が使われているものですね。

タピオカ店についてはこちらの記事で15種類、価格ごとにランキング付けしてありますので、タピオカ店マスターになってうんちくを披露してモテたい方は要チェックです。
>>【完全版】タピオカ店TOP15ブランドを一挙大公開!

妻の親戚のおじちゃんと話したときに、おじちゃんは日系企業に勤めているとうれしそうに話してくれたのですが、それがこの会社↓

中国のマーケティング失敗例

家電をあつかっている会社みたいです。見た目は日本企業ですけど…。

ちなみに妻のお父さんの弟にあたるひともここで働いていました。

「俺は日本企業ではたらいてるんだ。」と言っていたのを思い出します。

ほかにはコスメブランドなども日本風の名前がつけられていたりします。
くわしくは:>>人気の中国コスメブランド(花西子・完美日記・自然堂)

ジャーナリストの周来友さんと偽日本風やいまどきのメイドインチャイナについて対談した動画もありますので、チェックしてくださるとうれしいです。

炭酸飲料水はレッドオーシャン

炭酸飲料水の市場成長を見てみると以下のような推移で急成長を遂げています。

2018年:90 億元(1530億円)
2021年:200億元(3400億円)

そして先の予想として
2025年:320億元(5430億円)まで上ると見込まれています。

このように炭酸飲料水業界はレッドオーシャンで、この中で勝ち抜いていくためには特徴が必要なのです。

そこでこの农夫山泉:nóng fū shān quánも元气森林:yuán qì sēn línの偽日本風マーケティングを真似して顧客を獲得しようとしたわけです。

今回は消費者がマーケティングや原産地について疎いという知識の盲点をつく作戦がバレてしまいました。农夫山泉:nóng fū shān quánも今回のように大騒動になるとは思っていなかったことでしょう。

それで、2021年6月からはこんな作戦に出ました。

元气森林と同列で商品を陳列してくれたお店にはミネラルウォーター2箱プレゼント

このようにして何とか売上を伸ばそうと頑張っていますが、どうなるのでしょうか。

日本というリスク

中国では日本企業を始め、中国企業も日本という付加価値をつけようとしていますが、日本というのはリスクにもなりうるということがお分かりいただけたと思います。

中国でのマーケティングはSNSが主流ですが、ネット民から攻撃されたらもう売れるものもなかなか売れなくなるのです。

それも当局がそのように仕向ける場合もありますし、反日的な人がそのように発言するとかもしくは政治的な事情だったりと、地雷はたくさんあるのです。

例えば、2019年から大連郊外のリゾート地にある東京ドーム13個分の敷地を利用し、別荘や商店など1600超の建物から成る「京都村(中国語名は盛唐·小京都:shèng táng ·xiǎo jīng dū)」は、総投資額は60億元(約1020億円)かけて建設されましたが、2021年8月25日の開業からわずか1週間で営業停止(政府が全店舗の一時休業を要請)になったのです。

小京都

理由はネット民たちが攻撃したからです。日本の文化侵略などと不満を爆発させたからです。

ちなみに、先程も紹介しましたが、私のビリビリが攻撃され始めたのも最近です。友達の日本人インフルエンサーはビリビリでもっとひどい攻撃にあっています。

理由は以前、彼がYouTubeで発信した内容が反中国的であったからです。しかし、その内容も誰かが見てそう思って、それを中国のSNS上で発信しただけで、攻撃している人の大半は見ていないのです。

私のところにも「こいつはここでは当たり障りのないこと言っているけど、Twitterでは反中国的なことばかり言っている」と書かれ、それを信じた人たちから攻撃されています。

しかし、文句を言っても逆に反日感情を煽るだけですし、まず日本人がこう言ってるから直そうなどとは思わないわけです。

それならいいところを見習って学んでいこうという姿勢を持ったほうが良いという精神科医の和田秀樹先生の意見がとても参考になります。

また日本人が海外文化を学んで発展させていったことは中国の経済誌でも絶賛されていました。こちらも以前紹介しましたね。

このブログや私のツイッターYouTubeでは中国から学ぶべき情報を提供しています。ビジネスにおいても中国が先をいっていることも多いでしょう。そういったものを紹介していますので、ぜひこれからもよろしくおねがいします!

中国語学習ロードマップでは初心者からビジネスレベルまでの中国語勉強ステップを紹介していますので、チェックしてもらえるとうれしいです。
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ちゃいなサプリ」のYouTubeでも中国語文法を1から解説しています。

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最後までご覧くださりありがとうございました!

★使用しているVPNはこれです。(中国では海外のサイトにアクセスするときにVPNというものが必要です。本記事も中国から執筆しています。)

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