今回取り上げる漢字は、中国語学習者にとって最も重要かつ日常的な動詞の一つである「習(习)」です。
僕たちはこの一文字を見てすぐに「学習 (xué xí)」や「練習 (liàn xí)」を思い浮かべますが、そのルーツには、「鳥が何度も飛び方を反復する」という、実にシンプルで力強い光景が隠されています。
本記事では、「習」が甲骨文字でどのように描かれ、なぜ「繰り返すことによる熟練・習慣化」という意味へと発展していったのかを紹介します。
単語を暗記するのではなく、その核心となるイメージを理解することで、「学习」「习惯」「习俗」といった中国語の重要語彙のニュアンスを掴み、語彙力を根底から強化していきましょう。
漢字の概要と基本情報
- 漢字:習(簡体字:习)
- ピンイン:xí
- 部首:羽
- 画数:11画
漢字「」の成り立ちと字源の深掘り

「羽」(yǔ)2本の羽
「白」(bái)太陽
→「習」(xí)鳥が日光の下で飛ぶ練習をしているところ
「習」の意味と用法の発展過程
「鳥が飛ぶ練習をする」から以下のように派生していきました。
①「学習する」→「復習する」
②「熟練・熟知する」→「習慣、悪習」と「親しくなる、信用する」
③「教える、訓練する」
④副詞(古語)

単語推測の鍵:「習 (xí)」を含む熟語を構成要素から解き明かす
「鳥が飛ぶ練習をする」ように何度も繰り返すというニュアンスの「习」(習)とくっついて熟語をつくる漢字をご紹介します。
漢字から意味が推測できるようにしましょう。
练(練)
「练:liàn」は元は絹を磨き上げて白くするという意味でした。何度も繰り返して精製するという行為から転じて訓練するという意味が派生しました。
「练」+「习」→「练习:liàn xí」(何度も訓練する)
【日本語訳の例】練習する
熟
「熟:shú」は食べ物を食べられる程度に熱することを言います。
これから「程度が深い」という意味に派生しました。
「熟」+「习」→「熟习:shú xí」(程度が深くなるまで、何度も反復する)
【日本語訳の例】熟知する、熟練する
俗
「俗:sú」は世間の慣習、ならわし。多くの人が繰り返し行い、慣れ親しんだ状態。
「习」+「俗」→「习俗:xí sú」世間一般で繰り返し行われ、定着した習慣やしきたり。
【日本語訳の例】その土地や社会に昔から伝わる風俗、しきたり、慣習
气(氣)
「气:qì」は人の精神状態、態度、性質を表します。
「习:xí」は繰り返された行いから「習慣」という意味も派生しました。
「习」+「气」→「习气:xí qì」(習慣によって身についた性質、傾向、態度)
もともとは仏教用語でした。
煩悩や悪い行いから抜け出せない状態を指すことが多かったため、
一般用語として広がる際にも、「改められない悪い習慣」という意味に固定されました。
【日本語訳の例】改められない悪い習慣
他には論語で
學而時習之,不亦說乎?
「学びて時に之を習う、亦た説ばしからずや。」
ここでも何度も繰り返して身につけるという意味で「習」が使われています。
関連学習リソースと参考リンク
- 内部リンク(漢字のたね://)
- 外部リンク(漢典 zdic.net)
- 参考文献(說文解字,王力古漢語字典,中华字典,现代汉语词典,汉字源流字典)
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