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日本語で中国語を学ぶのは逆効果?──“訳せばOK”から抜け出すプロの思考法

「訳すほど、わからなくなる?日本語で学ぶ中国語の落とし穴」と書かれた中国語学習記事のアイキャッチ画像

中国語を学ぶ時、「これ日本語でどういう意味だろう?」と考えてしまいがちですよね。
しかしその習慣が、かえって中国語の理解を妨げているとしたら──?

この記事では、「日本語で学ぶことの限界」について、具体例とともに掘り下げます。
単語の“位置関係”や“距離感”を正しくつかむための視点を整理してみましょう。

動画では「頭で訳すクセ」の弊害を解説しています。

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「訳せる=理解した」は思い込み──翻訳が学習を妨げるワケ

たとえば「感觉:gǎn jué」という単語。

「“感じ”と訳せばOK」と思っていると、次のような中国語に出会ったときに混乱します:

我感觉他今天有点奇怪。
(直訳:私は彼が今日ちょっと変だと“感じる”)

この“感觉”を「感覚的に感じる」と訳すと、何となくはわかる気がしますが、
実際には「思う」や「感じ取る」「印象を持つ」といった、かなり幅広い用法を含んでいます。

つまり、「訳せる=理解できた」というわけではないのです。

他にも例を挙げると:

  • 厉害:「すごい」「強い」だけでなく、「手ごわい」「深刻」などネガティブな意味も。
  • 随便:「自由にしていいよ」のつもりが、場合によっては「どうでもいい」の無責任な印象を与えることも。

「日本語でどう訳すか」だけに頼って学ぶと、
単語そのものの意味ではなく、日本語の型に無理やり当てはめた“ぼやけた姿”しか見えなくなります。

日本語の意味で覚えると失敗する?中国語と“ズレる”理由

思考や文化、習慣も違うので、外国語同士、意味が一対一で対応することはないと思います。

たとえば:

  • 方便:日本語だと「便利」と訳しますが、実際には「トイレをする」「都合がいい」「融通がきく」など多義的。
  • 明白:「明らか」や「はっきりしている」という意味だが、「わかった」と訳される場面も多い。
  • 理想:日本語では「夢・希望」に近いが、中国語ではかなり現実的な「理にかなった理想的状態」を指すことも。

これらの単語は、日本語と同じ漢字を使っていても、
背景にある“思考の習慣”や“文化の文脈”が異なるため、
完全に一対一の翻訳で対応することができません。

日本語にできる情報だけに着目すると、
構造・視点・文化的前提が抜け落ちてしまいます。

たとえば、
“我把书看完了” を「私は本を読み終えた」と訳すと、
「なぜ“把”が必要なのか?」という問いが消えてしまうわけですね。

すると、本質的な理解につながらなくなってしまいます。

日本語を使いながら“脱・日本語”する方法──橋渡しのステップ

とはいえ、「じゃあ日本語を使わずに勉強すべきなのか?」というと、
それは現実的ではありませんね。

むしろ、日本語は“橋渡し”のツールとして非常に有効です。

大切なのは、最初から日本語に頼り切らないマインドセットを持つことです。

ステップとして有効なのは:

  1. 最初は日本語を通してもOK。ただし、「あくまで仮の理解」として。
  2. 次に、“訳さずに理解しようとする練習”をする。
    • シャドーイングや音読をしたり、イメージでとらえたり。
  3. 日本語を介さず「そのまま」使える瞬間が増えていく

たとえば、「就」という副詞に慣れてくると、
「すぐに」「まさに」「つまり」など日本語の一対一の訳では表せない
“話し手の意図”を、感覚としてつかめるようになります。

「あ、いま“就”を使いたいって感じ、わかる」──
この段階に入ると、言語が自然に動き出します。

それが「言語が自走する感覚」です。
このフェーズに入ってからが、本当の意味での「習得」が始まります。

まとめ:翻訳しない練習が、“言語の目”を開く鍵になる

上手になる人がやっているのは、
最終的には「訳さない前提」で文章を読み、意味をつかんでいく訓練です。

その言語の脳を「日本語を経由しないでも理解できる状態」に育てているのですね。

日本語は自転車でいう“補助輪”のようなもの。
補助輪をつけなくてよくなれば、
自由にスイスイどこへでも漕いでいけるわけです。

あなたもまずは、「訳さない練習」に、一歩踏み出してみませんか?

もっと深く学びたい方へ
「訳せるのに、通じない」──そんな中国語学習者の壁を、具体例で掘り下げた有料noteを公開しました。

なぜ「訳せる=理解できた」と思い込むと、中国語が伸びなくなるのか?
プロ通訳としての視点から、“直訳グセ”が学習を止めてしまうメカニズムを解説しています。

noteはこちらから読めます(300円・全3000字以上)

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