76番目に紹介されている『將仲子』は、求愛してくる男性を拒否する少女のお話。
少女は少年に惹かれていますが、家族が反対しているんですね。
当時の礼と愛とがぶつかって、自由に恋愛できない女心を描いています。
詩を見てみましょう。
長いので一番だけ載せます。
將仲子兮、無踰我里、無折我樹杞。
豈敢愛之、畏我父母。
仲可懷也、父母之言、亦可畏也!
Qiāng Zhòngzǐ xī, wú yú wǒ lǐ, wú zhé wǒ shù qǐ.
Qǐ gǎn ài zhī, wèi wǒ fùmǔ.
Zhòng kě huái yě, fùmǔ zhī yán, yì kě wèi yě!
「將」は“Qiāng”という発音で、現代の「请:qǐng」と同じ意味です。
「仲子」は次男坊です。
ちなみに
伯(hóu): 長男(一番上)
仲(zhòng): 次男(二番目)
叔(shū): 三男(三番目、または三男以降)
季(jì): 末っ子
「兮」(xī): 詩の語調を整える感嘆詞。
「愛」: ここでは「(物を)惜しむ、もったいなく思う」という意味で使われています。
「杞」(qǐ)はイヌコリヤナギ(カワヤナギ)という植物

お願いです仲子さま。うちの生垣を飛び越えて来ないでください。
杞(かわやなぎ)を傷つけないでくださいませ。
(枝が折れるのを)惜しんでいるわけではありません。親にバレるのが恐ろしいのです。
仲子さまが愛おしい。ただ親に責められるのを思うと 恐ろしいのです。
人の心は変わらないものですね。
この詩を作った人は約3000年前の女性。
約3000年前というと日本では縄文時代です。
ブッダも孔子も生まれる前。
不思議な感じがしますね。
そんな時代の恋心をのぞいているなんて。
