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中国語の強調表現が日本語に訳しにくい理由と、効果的な学習法

中国語の強調構文と日本語の違いを解説する記事のアイキャッチ画像

中国語を学んでいると、「意味はわかるのに、日本語に訳そうとすると違和感がある」という文に出会ったことはありませんか?

特に「是~的」や「连…都…」などの強調構文では、中文のニュアンスをそのまま日本語に移すのが難しく、モヤっとした感覚に陥ることがあります。

でも、これはあなたの理解力が足りないわけではなく、中国語と日本語の“強調のしかた”の根本的な違いに由来する自然なズレです。

まずは、「中国語の強調はなぜ日本語に訳しにくいのか?」という問いから出発し、その違和感の正体を明らかにしていきましょう。

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強調って何?──「日本語の感覚」で見ると見落とすもの

中国語を学ぶと、「強調構文」という言葉をよく目にします。

例えば「是~的」構文。
「他是昨天来的」(彼は昨日来た)と表現することで、
“昨日”という部分を際立たせる役割があります。

日本語に訳すと、強調がうまく表現できなかったりしますよね。
この日本語話者にとって見えにくい構造が中国語を難解だと思わせるのです。

日本語では、「強調したい部分」をはっきり構文で示すことはあまりなく、
語尾・助詞・語調・文脈などに“含ませる”ことでニュアンスを出します。

これを「文脈依存型の強調」と呼ぶことができます。

例えば:

  • 「これこそが本当の問題なんだ」
     → “これ”を強調するには「こそ」という助詞を使う。
  • 「まさか彼がそんなことをするなんて
     → “彼”に焦点があり、意外性を強調している。
  • 「そんなこと、あるはずがない
     → 否定を強めて伝えるには「はずがない」などの語尾表現を用いる。
  • あの人まで来るなんてね」
     → “あの人”が来るのは意外だったというニュアンス。

こうした例からもわかるように、日本語の強調は明確な構文よりも、
状況に応じた表現の選び方や語尾の工夫によって伝わるのです。

一方、中国語の強調はもっと“構文依存”。
語順や構文の型によって「どこが重要か」が形式的に表れるという特徴があります。

つまり、「強調されている」ことが可視化されているのが中国語。
逆に、「その強調が目に見えない」のが日本語。


このあと紹介する「是~的」以外の構文にも通じる感覚なので、
ここで一度、「“強調”ってそもそも何をしているのか?」という視点を持っておくと、学習の質が大きく変わります。


なぜ「是~的」だけ学んでもモヤモヤするのか?

中国語学習で最初に習う強調構文といえば、「是~的」ですね。
テキストにも頻出で、入門〜初級の段階で出てきます。

しかし、多くの人が「形は覚えたのに、使い方に自信がない」と感じています。
それは、「是~的=過去の出来事を強調する構文」だけでは不十分だからです。

実は「是~的」は、時間を強調するとは限らないのです。
強調されるのは、文の中にある“可変項”(変化の可能性がある部分)であり、
それが人物だったり、方法だったり、場所だったりもします。

例えば:

  • 昨天来。(時間:昨日)
  • 坐地铁来。(方法:地下鉄で)
  • 在上海认识她。(場所:上海で)

このように、「是~的」は「何を伝えたいのか」を明確にする構文です。
単に“過去のことを言うときに使う形”ではないという点が重要です。

こうした使い方の広がりを知らずに「昨日の話=是~的」という機械的な理解だけで進むと、
「あれ、なんでこれは“是~的”じゃないの?」というモヤモヤにぶつかります。

強調=一部に注目する行為」ととらえると、
「是~的」は“文のどこに注目させたいのか”をコントロールする構文だとわかります。

まとめ:本当の理解は、「訳せない」を超えた先にある

中国語の強調構文を学んでいると、多くの人が
「訳せるけど、なんか伝わらない」という感覚に出会います。

それは、翻訳ではどうしても取りこぼしてしまうニュアンスが、
構文や語順に深く埋め込まれているからです。

でも逆に言えば、その構文の意図や焦点の置き方を理解できれば、
「訳さなくても伝わる」感覚が少しずつ育っていきます。

それが本当の意味での“語学力”だと思います。

こうした“訳せない違和感”をどう乗り越えるか、そしてどう学習に取り入れていくかについては、
以下のnoteでより具体的に解説しています。

興味があれば、ぜひご覧ください。

▶ 『訳せない中国語──強調構文に潜む“違和感”の正体

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