コラム

中国でニセモノの尼さんにだまされた話

浙江省の寧波市というところに住んでいたとき、家のちかくを歩いていると、袈裟を着たおばあちゃんがこちらに歩いてきました。

こういったお坊さん詐欺はよくあるのですが、尼さんの詐欺は見たことも聞いたこともありませんでした。

案の定話かけてくるわけですが、無視しようと思っても、「もし本物だったら」という思いが頭を掠め、足を止めました。

あばあちゃんは訛りがキツく、言っていることも半分くらいしかわからなくて、録音して妻に聞こうと思ったのですが、本物だったら録音しては失礼かなと思い、録音しませんでした。

聞き取れた範囲では、
「ぼくは89〜90何歳まで生きる」
「善を積みなさい」

というようなことを言って、

「これ持っていきなさい」と数珠をくれました。

その後、「お金をくれないか」と直接言ってきました笑

思わず笑ってしましましたね。

「お金ないよ」というと
「お腹空いた」みたいなことを言ったので、
「ごはんなら奢ってあげてもいいよ。」と言いましたが、

その後は何を言っているのかわからず…。

“吃亏是好事。”
「損をしたり騙されたりするのは厄落とし」という言葉もあるので、
50元(約1000円)あげました。

ボク自身、仏教の経典を勉強したく、いろいろ調べていたところだったのですが、
8万4000もの法门:fǎ mén(教え)があり、どれを選べばいいのかわからずにいました。

縁のある菩薩というのがあるようで、縁のある菩薩の経典を勉強するのが良いというのを見て、どの菩薩が自分と縁があるのかななんて漠然と考えていたので、このおばあちゃんに聞いてみようと思い立ちました。

出身が浅草のちかくで、浅草寺は観音様(观音菩萨:guān yīn pú sà)が祀られています。

また実家の近所にある神社でも観音様が祀られているのと、住んでいる浙江省寧波市には普陀山:pǔ tuó shānという観音菩薩の総本山があります。

なので、観音菩薩と縁があるのかと考えていました。

ちなみに、観音菩薩の経典は
「般若心経」(般若波罗蜜多心经:bō rě bō luó mì duō xīn jīng)や
「普門品」(观世音菩萨普门品:guān yīn pú sà pǔ mén pǐn)などがあります。

ほかには、お地蔵さんとして有名な地蔵菩薩(地藏王菩萨:dì zàng wáng pú sà)は7月生まれで、ボクも7月生まれ。

地蔵菩薩の経典は「地蔵経」(地藏菩萨本愿经:dì zàng pú sà běn yuàn jīng)というのがあり、これをちょこっと勉強したら、すごく興味深かったので、地蔵菩薩の経典を勉強しようかとも考えていました。

このことをおばあちゃんに話したのですが、答えは得られず…

さらにはまたお金を要求される始末…。

他のひとはこれだけ寄付してくれた人もいると、アリペイの記録を見せてきます。

999元(2万円以上)の記録もいくつもあり、「こりゃやばい」と逃げようとしたとき、
「これ持っていきなさい。」とお守りをくれました。

「もうお金ないからいらないよ。」と断ったのですが、

「持っていなさい。」と。

おばあちゃんは、普陀山:pǔ tuó shānから来たと言っていました。

観音菩薩の総本山ですね。

しばらく話すと、また「お金くれない?」と言い出すおばあちゃん笑

今までここまでお金をせびる人に出会ったことはありませんでしたね、逆に新鮮でした笑

仏教では「前世での借りがあれば、今世で返済しなければならない。前世で騙した相手からは、今世で騙される。」といいます。

だから騙されたら、借りを返して返済できるということですね。

これが本当なら、ボクはこのおばあちゃんに借りがあるということだと思い、もう50元あげましが、

さらに要求してくるので、もうダメだと思い、その場を去りました笑

お守りの中にはカードのようなものがあり、

出してみると

地蔵菩薩ですね。

観音様の総本山から来たと言っていたのに、観音菩薩ではなく地蔵菩薩が入っているということは、地蔵菩薩と縁があるのかと思うことはできました笑

それだけでも収穫かな、と自分を慰めています笑

“吃亏是好事。”

だまされるのはいいことだと考えると、いろいろ気が楽になるかもしれません。

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