こんにちは!ちゃいなサプリのYukiです。
中国ビジネス情報誌『财经』第613期に紹介された記事から紹介します。
動画版もあわせてご覧いただくと理解が深まります!
豚の値段が急降下
中国では2019年10月下旬に豚の値段がこれまでで最高になったと報道されました。
当時も中国にいた私はそれ以来豚肉をあまり買わなくなったことを覚えています。
2022は最高額から41.31%値がさがって1キロあたり18.54元(315円)となっているといいます。
養殖場の方の話ではこれはもう原価に近いのだそうです。
2024年は1キロあたり20元に落ちました。
世界最大の豚消費国ー中国
中国は豚の養殖および消費大国で、世界で生産される豚の半分以上が中国で消費されているのです。
中国国内でも消費されるほかの肉類と比較しても、豚肉はそのうちの60%を占めています。
中国の豚養殖にかかるコストは高いままで、その主な原因は3つあります。
1.ASF(アフリカ豚熱)←豚やいのししの病気
2. 豚の繁殖率が低いこと
3.飼料を輸入に頼っていること
中国国内でも豚の養殖は行われていますが、それだけでは需要に追いつかず毎年数万頭の豚が飛行機で輸入されます。その後、約45日ほどの隔離期間を経て、養豚場に送られるのです。
原価も外国の方が低く、1キロあたり8〜12元(136円〜204円)なのに対して、中国国内で生産される豚のコストは1キロ17元(289円)以上なのです。外国産のより少なくとも40%割高になる計算です。
しかし、豚を海外から輸入することを制限する政策が出ていないところを見るとそこまで切羽つまっているわけではないのではないかと筆者は分析しています。
同時に輸入に頼っていると産業化にも支障が出るし、価格も安定しなくなると心配もしています。
エサの問題
豚の飼料はトウモロコシと大豆で、これらの80%以上を輸入に頼っています。
そして、「大豆」は政治や国際市場の影響を大きく受けるのです。
米中貿易戦争と大豆
中国はアメリカから大豆の輸入時に25%の関税をかけました。
結果、アメリカから中国に輸出する大豆の量が70%も下落しました。
不足分はアルゼンチンやブラジルに求めたのですが、これもある種の作戦であったと言われています。
アルゼンチンやブラジルは南半球に位置するため、アメリカとは季節が逆になります。そのため、北半球であるアメリカで大豆が収穫できない時期に南半球の国では収穫できるのです。
上のグラフを見ると、北半球と南半球から交互に輸入していることがわかります。南半球からの輸入は北半球より多くなっていますね。
2035年までに新品種誕生?
中国の豚養殖が遅れをとっていることを政府も重視していて、
2021年5月“全国生猪遗传改良计划(2021-2035年):quán guó shēng zhū yí chuán gǎi liáng jì huá”という豚の遺伝的改良計画の中で、品種改良を政府が大々的に指示することが発表されました。
2035年までに完全な商業化品種改良システムを完成させ、高水準で良質品種を提供できるようにし、主要な品種は95%以上の自給率維持を目指します。
「中華系」のブランド種を誕生させ、3〜5社の国際競争力のある養豚企業を育成することが掲げられました。
代替エサを使う?
同時に飼料を輸入に頼らざるを得ない問題にも政府は注目しました。
“猪鸡饲料玉米豆粕减量替代技术方案:zhū jī sì liào yù mǐ dòu pò jiǎn liàng tì dài jì shù fāng àn”「豚と鶏の飼料減量のための代替技術案」の中では【微生物タンパク質】の使用が提案されました。
※微生物タンパク質とは↓↓
この微生物タンパク質を使うことで、飼料の吸収率が上がり、飼料の消費を減少させることができるというわけです。
このように
・生産効率の増加
・損失の減少
この2つが問題解決の鍵なのです。
また、これら以外に対策法は特にないと筆者は言います。
外国から輸入される「原種」
直接原産地から輸入された豚や何代もの交配が繰り返され「比較的純血」の豚を原種と定義していると言っています。
外国産原種豚の利点は以下のようなものが挙げられます。
・出産数が多い
・肉の平均コストを安くおさえられる
・繁殖周期が短い
・病気にかかりにくい
養豚業者もこれらの経済的メリットを見逃すはずがありませんね。
そこで1994年以来、業者たちは外国から原種豚の輸入に着手しはじめたのです。
輸入先はアメリカ・カナダおよびヨーロッパ諸国ですが、中でも一番輸入量が多いのはアメリカです。
中国原産の豚
中国にも独自の豚の品種が存在します。代表的なものは
成华猪:chéng huá zhū
これは四川原産の黒毛豚で回锅肉:huí guō ròu(ホイコーロー)に一番合う豚と言われています。2013年5月27日に絶滅危惧種に登録されました。
滇南小耳猪:diān nán xiǎo ěr zhū
こちらは雲南省原産ですね。ちなみにこの品種の名前にも入っている滇南:diān nánとは雲南省の別称です。
蚊や体外寄生虫に対して、比較的強い抵抗力を有しています。 国家级畜禽遗传资源保护品种:guó jiā jí chù qín yí chuán zī yuán bǎo hù pǐn zhǒng(国家級畜禽遺伝資源保護品種)として保護の対象になっています。
大花白猪:dà huā bái zhū
これは広東省原産の豚です。高温多湿や粗い飼料にも耐性があり、成長も早く肉質もいいです。
さらに脂肪がつきやすいという特徴があります。また、発情期も明らかであるため業者に好まれているようです。
しかし、これらの品種は繁殖力が輸入されている外国産よりも低く、国内の需要に追いつけないという問題点があるのです。
それで、今でも輸入に頼らざるを得ない状況が変わらないのです。
養豚の効率をみる指標(PSY・FCR)とは?
PSY
養豚の効率をみるためにPSYという指標を用います。これは雌豚が毎年提供できる離乳した豚の頭数を表します。
養豚先進国ではこのPSYの値は22〜28の間である一方、中国のPSYは16しかありません。
FCR
これは飼料要求率というもので、畜産1kgを生産するのに必要な飼料の数量のことです。
アメリカではFCR3.97であるのに対して、中国は7.82。これは飼料の吸収効率が悪いということで、生産するのにより多くの飼料が必要になってしまうということです。
エサのコストは外国と比べると40%も高いのです。
アメリカの場合、大規模機械化で生産効率がUPした上に遺伝子組み換え大豆を使うことで、天候や害虫・雑草に強く人的費用も大幅に減少できたのが強みなのです。
この他、出荷までの期間や繁殖周期などの経済指標からみると中国の国産豚の養豚コストは外国の原種に比べて約30%も高くなるのです。
養豚業者もお金のためにやっているわけだから、自然に経済効率の良い外国産を選択するようになると筆者は言っています。
2020年外国から輸入された豚は3万頭でした。輸入した理由は2つで
①アフリカ豚熱により豚の価格が上昇したため、外国から病気にかかりにくい原種を直接輸入した。
②以前輸入した豚の品種退化が進み、繁殖できなくなったためその補給として輸入した。
1頭2−3万元
外国産の原種は、雌豚1頭2−3万元(34ー51万円)で売れるといいます。
しかし、3−5年周期で品種の退化が進んでしまうのです。
これは交雑を何度も繰り返すと繁殖能力がなくなってしまうからで、さらに中国では豚の近親間交雑もあり、病気にかかりやすい豚も多いのです。
効率化でコストダウンを目指す
技術の革新でトウモロコシの収穫率を10%UPすることができると予測されています。そうすればトウモロコシ自給率も95%までに達するのです。
しかし、大豆はそうはいかないといいます。大豆は国内の需要にあうだけの生産がなく、やはり輸入に頼らざるを得ない状況のようです。
現在考慮されているのは、大豆やトウモロコシに替わる飼料がないかということで、小麦や大麦、米ぬかやタピオカの原料であるキャッサバなどが検討されていますが、まだ結論は出ていません。
さらに上でも紹介しましたが、細菌タンパク質を使えば栄養吸収率が10ー15%UPするため、その分の消費量を減らせるという話もあります。
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このような解決の必要性が存在する領域にはそれを解決する新たなビジネスが生まれるものです。その時はまたこのブログにてご紹介しますね!
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