こんにちは!ちゃいなサプリのYukiです。
中国ビジネス情報誌『商界』第694期に紹介された記事から紹介します。
ペットブームの中国ではペットビジネスも盛り上がっています。
卒業したら会社に入らずに、家を借りて猫のブリーダーになるという選択肢もあるくらいです。
記事では具体例も交えて紹介されているのでくわしく見ていきましょう。
動画版もあわせてどうぞ!
ペットを売っていないペットショップ
「仕事でのストレスが大きいから」
「恋人もいないし、孤独を癒やしてくれる存在がほしい」
「生活が無味乾燥でつまらないから」
などさまざまな理由でペットを家族として迎える人が増えています。
その理由のひとつには中国は今や独身大国と化しているというのもあります。
アラサー独身が中国で急増中!その数なんと3億人(日本の人口の2倍以上)理由は〇〇!
去年大学を卒業したある男性は、IT関連の会社に就職しました。激務で日々ストレスのさらされる日々。
一人の生活もおもしろみがないと感じていました。
そこで彼は友達のアドバイスを聞き入れて、ペットをパートナーとして迎え入れることに決めたのです。
仕事の関係上、散歩の時間を作るのが難しいため、猫を迎えることにしました。
種類はアメリカンショートヘア。
ペットショップに行ってみると不可解なことを発見しました。
それはペットショップでペットが買えないのです。
すでに予約されているか、もしくは値段が信じられないほど高いという状態でした。
ボクもこちらで犬を探したときには苦労しました。
>>中国で犬を飼った体験談
ペットを飼う人が減ってしまったからなのでしょうか?
答えはその逆。飼う人が急増しているからなのです。
2020年中国の都市部で飼われている犬と猫の数は1億84万匹(犬5,222万匹・猫4,862万匹)となっています。
また人数で言うと、都市部で犬や猫を飼育している人数は6,294万人(犬3,593万人・猫2,701万人)で、そのうち25〜30歳が60%以上を占めているのです。
※これは飼育登録されている頭数で、登録されていないものも多いのでこの数字よりはるかに多いものになります。
また、農村部での数値はノーカウントとなっています。
不正規で販売されているものや登録なしで飼われているものなどは把握できないためです。
ペットを飼う人が増加すると関連のペットグッズなども売れていきますね。
2021年のペット業界の市場規模はすでに2,308億元(約4兆円)にまで達しています。
中国ではペット市場の浸透率はたったの6%しかありませんが、現在急成長中です。
>>ペットブームの中国!ペットグッズのネット上売上○千億円の大市場!
アメリカでは飼育されているペットの数は全人口の1.3倍で43%以上の家庭が犬の飼育届けを出しています。
フランスでは登録されている犬の数は全人口の1/6になります。
では以下で中国におけるペットの購入ルートを見ていきましょう。
主流は「猫舎」
今ペットを迎え入れる主流はペットショップではなくなってきているのです。
猫を飼うなら“猫舍:māo shè”
犬を飼うなら“狗舍:gǒu shè”というところで迎え入れるのが主流です。
日本で言うところのブリーダーさんのお宅という感じですね。中国では比較的簡単にブリーダーになることができるのです。多くは猫舎ですね。
犬の場合は散歩など日々の世話も大変ですし、必要なスペースも猫とは比較になりませんから、田舎で業者が何人ものスタッフを雇って運営するケースが多いようです。
またタオバオでも購入することができますが、輸送の途中で死んでしまったりと安全面では不安があります。箱詰めの犬や猫がニュースになって話題を呼んだこともあります。
>>生きた犬猫を箱詰め?中国ペットのブラックボックス(ブラインドボックス)の実態!【動画あり】
“猫舍:māo shè”は小規模ならアパートの一室(もしくは自分の部屋)から大規模なら3階建ての1軒屋など様々ですが、設備もそれほどかからず、オスメスの猫ちゃんがいれば基本的な猫舍のできあがりというわけです。
コストはオスメスの猫ちゃんとキャットフード、それから猫砂などで、猫は繁殖周期が65日くらいで1回の出産で2〜8匹生みますので、収益も悪くないと言います。
猫舍を運営する人たちはただ繁殖させて子猫を販売するのではなく、ペット用品を販売したり、シャンプーやカットなども同時に提供したり、さらには猫喫茶を運営する場合もあると言います。
飼育人数は25〜30歳が60%以上を占めていて、この年齢層は独身者もおおく、生活にそれほど大きな負担もないことから経済的にも余裕があります。
そして、ペット用品やペット自体に要求する質も重視しますし、ペットフードも良いものを選ぶ傾向にあります。
都市の猫舍が有利な理由
都市の“猫舍:māo shè”が有利な理由は2つ挙げられています。
1・購入者が直接行って選べる
都市だと交通も便利で、購入者が直接行って触れ合って気に入った子を連れて帰ることができます。
これは購入する人にとっては大きな安心感を生みますよね。
写真や動画だけで判断して、送られてきた子が健康でなかったり、想像と違う子だったりする場合もありますから、自分で直接見て選べるというのは大きな利点になります。
2・「社会化」に適している
犬や猫はパートナーとして迎え入れられますよね。そして、人と一緒に暮らすわけですから、人や他の猫や犬に慣れている必要があります。
これは「社会化」と呼ばれるもので、犬も猫も自分の母親からいろいろなことを教わり、兄弟姉妹、さらに他の犬猫との触れ合いで、振る舞い方を学ぶのです。
田舎の繁殖場で1匹ずつケージに入れられているようではこのような「社会化」は期待できないでしょう。
反面、部屋の中で小規模に自家繁殖された場合は「社会化」もできますし、人に慣れる子に育つでしょう。
ペットグッズ販売にはいろいろな規則がありますが、ペットそれ自体を繁殖させて販売することに関しては今のところ厳しい規則はないといいます。
どうして正規のペットショップよりグレーゾーンの猫舎が好まれるのでしょうか?
―それは自家繁殖の猫舎の方が信用できるからなのです。
多くのペットショップは自家繁殖ではなく、繁殖業者から仕入れているだけなのです。
それに比べて、猫舎なら購入者が子猫の成長の過程を見ることもできるし、子猫の母猫や場合によっては父猫、さらにその上の世代まで見ることができます。
子猫の健康や、成長したらどのようになるかなどある程度予測もつきますし、安心感と透明性が信用につながっているのです。
そして仲介をはさまないことから、同じ品種で同じ状態であってもペットショップより安く提供することができるのです。
猫は生後2〜3ヶ月の子が最も好まれます。
生まれたばかりの小さすぎる子だと健康を保証できませんし、成長しすぎた子だと慣れないこともあります。
2ヶ月に満たないとまだ乳離れできていませんし、3ヶ月を超えると徐々に値段が安くなります。
そして4ヶ月を越えた子は原価割れとなってしまいます。
このような理由からペットショップは形態を変えざるを得なかったのです。
ペットグッズ販売やシャンプー・カットが主で、生体販売は副業みたいな感じになりました。
さらに、生体は予約販売が主流で、予約を受けた後に繁殖業者から仕入れて店内に展示します。
こうすることで店内で売れ残るというリスクがなくなるのです。
またSNS上でマーケティングを行うことも多いです。購入者はSNSにUPされた動画や写真を見て予約するのです。
WeChatのモーメンツに写真や動画をだして、気に入ったひとが連絡して購入するというスタイルが一般的です。
タオバオで猫舎や犬舎にメッセージを送るとWeChatのIDが送られてきます。
中国ではSNSマーケティングは主流でしたね!
>>中国のWebマーケティング
猫愛好家→猫舎の経営者へ
小童:xiǎo tóngという女の子は、ブリティッシュショートヘアに夢中になり、2018年に卒業(記事内では大学か高校か中学のどれを卒業したかは明記されていないため不明)してから就職することなく家で猫舎を開くことを選びました。
3年が経ちますが、猫舎にはすでに30〜40匹の猫がいるといいます。
そして、血統書付きのオス猫もいて、貸し出し交配も行っています。
さらにペットフードの販売やシャンプー・カットなどのサービスも提供していて、小さいペットショップのようになっています。
「同年代の子たちは外で仕事していて、私は家で猫を飼ってるでしょ。みんな私がたくさん稼いでいると思っているけど、実際は儲けにはなっていないの。ずっと元本割れの状態。」彼女は苦笑いしながら語ります。
毎年数十〜百万元以上(1000〜1700万円以上)のキャッシュフローがあるにもかかわらず、儲けはないのです。猫舎運営は見た目以上にお金がかかることだと筆者は言います。
きちんとした猫舎は猫たちの生活空間にも気を配ります。ケージ飼育では性格や発育にいい影響がありません。
また、飼育密度が高すぎると衛生面での問題も出てきますから一般的には部屋をそのまま猫の居住空間とすることが多いようです。1軒屋をそのまま猫ハウスにする場合もあります。
血統も重要で、猫舎は一般的にCFA,FIFE,TICA,WCFといった国際的な猫協会で血統証明の登録を行います。これはいわばブリーダーの〈営業許可証〉のようなものになっているのです。
エサも正規のものを与え、定期的にワクチン接種をし、衛生管理もきっちりやるなどきちんとやろうと思ったら全てがコストになってくるのです。
悪徳猫舎も存在する
猫は妊娠周期が短く、発情期間が長い(すなわち交配可能期間が長い)ため、猫を繁殖させて暴利をむさぼるのは難しいことではないのです。
正規の猫舎は母猫に一生のうちで、1回ないしは2回の出産にとどめていますが、悪徳猫舎になると休み無く母猫に産ませ続け、ついには母猫の寿命が2〜3年と短命に終わってしまうこともあるのです。
こういった猫舎では高密度で湿度が高く薄暗い劣悪な環境で飼育していて、子猫たちはすぐに病気になります。
その場合も、正規の薬を使うのではなく、抗生物質を打って無理やり生き生きさせるのです。このようにコストを抑え、1ヶ月に満たなくともすぐに売ってしまうのです。
(※日本では動物愛護法で子猫や子犬は生後56日以下では引き渡し禁止になっています。)
こういうところから購入した場合、迎え入れてから1週間くらいで死んでしまうことが多いようです。これを“星期猫:xīng qī māo”といいます。(一星期=一週間)
場合によっては、その前に多額の医療費がかかることもあります。
「こういった悪徳業者は原価割れなどないのよ。繁殖にかけるコストも低く抑えてるし、8匹生まれて1匹でも売れたら儲かるのよ。」と同業者は言っています。
このような悪徳猫舎は“猫贩子:māo fàn zi”(贩子=ブローカー)とか“后院猫舍:hòu yuàn māo shè”(后院=不正規)と呼ばれています。
正規とは違い、直接選ばせることはしません。
直接ペットショップに卸すか、ネット上で嘘の写真を載せて消費者を騙し、宅配で送るということをします。
ペット消費大国「日本」
この記事の最後ではペット消費大国である日本として、日本のペット飼育に関する法律がきちんと整っていると紹介されています。
ペット生体の売買の責任や義務がはっきりと明記されていて、業者や飼い主、さらには獣医までにも厳しく明確な要求があるとしています。
家庭で飼育する場合の頭数も度を越えてはならず、一般的なアパートでは飼育禁止になっていると紹介されています。
私は記事の中では自分の感想などは述べないようにしているのですが、みなさんは日本のペット市場は整って平和的なものだと思いますか?
犬を強制的に繁殖させる施設を「パピーミル」
保健所が野良犬を処分する二酸化炭素が充満した部屋を「ドリームボックス」といいます。
ペットショップで売れ残った生後4ヶ月以上の子犬や子猫はどこに行くのでしょうか?
売れ残りを殺処分する施設があるとも聞きます。
ペットを迎え入れるにはペットショップではなく信頼できるブリーダーさんからの方がいいでしょう。
しかし、生まれて1ヶ月くらいの子猫や子犬を引き渡そうとするブリーダーはダメです。
日本の法律では生後56日以下では引き渡し禁止ですし、社会化のためにも生後2ヶ月以降がいいとされています。
ペットショップで購入しなければこのようなペット生産工場も減るでしょうし、殺処分場もなくなるわけです。
さらにフランスではペットショップでの犬猫の販売が禁止されます。
【パリ共同】フランス上院は18日、動物愛護に関する法改正案を賛成多数で可決した。動物の福祉や衝動買い防止の観点から、犬と猫はペットショップでの販売を2024年から禁止する。マクロン大統領が近く署名し、施行される。
https://news.livedoor.com/article/detail/21216860/
犬や猫を飼う場合、保護団体や個人からの譲渡、ブリーダーからの直接購入となる。また、法改正によって施設でのイルカやシャチのショーを26年から、移動型サーカスでの野生動物の利用を28年から、それぞれ禁止する。
ウサギや魚などは引き続き販売できるが、衝動買いを招かないようショーウインドーに陳列することは禁止する。
★中国語勉強中の方へ
「ちゃいなサプリ」のYouTubeでも中国語文法を1から解説しています。
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最後までご覧くださりありがとうございました!
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