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学歴社会の中国―高学歴でも就活難。新卒の求める給料も年々さがっている

こんにちは!ちゃいなサプリのYukiです。

中国ビジネス情報誌『第一財経』第566期に紹介された記事から紹介します。

いま中国でも就職難で思い通りの会社に入れない若者が増えています。

学歴社会でもある中国は、名門校出身でないと人気の会社は採用してくれません。

日本とはちがう点としては大学院や博士課程の学歴が学部卒より採用率が高いという点です。

学歴社会の中国―高学歴でも就活難

就業経験のない新卒生にとっては「招聘会:zhāo pìn huì」と呼ばれる就職説明会が就職するのに一番の近道だと言われています。

動画版もあわせてどうぞ!

ここで学生たちは履歴書を提出したり、企業と直接対話したりすることができます。

双方が理解することができるチャンスなのです。

しかし、2021年度こういった説明会や講演会に参加した企業の数は例年に比べて大きく低下したという統計が出ています。具体的に見るとこんな感じです。

【復旦大学の就職説明会:企業参加数】

2019年11月:1万社以上 → 2020年11月:600社余り

【清華大学の就職説明会:企業参加数】

2017年と2018年3月:平均3万社以上 → 2021年3月:8000社余り

中国も就職難

コロナ禍の影響で、直接参加をやめてネット上で募集する企業が増えたのがその理由です。今では80%の企業がネットで募集するようになりました。

ある学生は100社以上に履歴書を送りましたが、そのうち就職説明会で直接渡したのは6社だけだと言います。

また、コロナ禍で経営が落ち込んだ企業にとって、新卒を雇う費用をいち早く削減し、代わりに経験のある人間を雇うという方向にシフトする企業も増えているといいます。即戦力になる人間が欲しいというわけです。

中国の学歴社会

2021年大学生就业力调研报告:dà xué shēng jiù yè lì diào yán bào gào
(2021年大学生就職調査報告)によると、2021年の新卒生は就職意志も例年に比べて薄く、卒業後に就職を選択した学生は56.9%で、去年の75.8%より18.9%も低い結果でした。

まだ企業から内定を受けていない人へのアンケートでは、その原因は「漠然としていて、何をやりたいのか自分でもわからないから」と答えた人が43.6%もいまいした。

中国も就職難

就職以外の選択肢

就職以外の選択肢として、以下のものがあるとの調査結果があります。
(おなじく2021年大学生就业力调研报告の調査)

※以下数値は2021年のもので( )内は2020年のもの

・フリーランス :15.8% (7.7%)
・国内で勉強継続:9.5%  (6.6%)
・海外で勉強継続:1.9%  (0.9%)
・起業する   :1.4%  (1.1%)

また同調査にはコロナが就活にどのような影響を与えたかという調査もあるので、ご紹介します。

・開催される就職説明会が減った  :60.7%
・大学生向け企業説明会が減った  :54.1%
・ネットでの就活が多くなった   :34.4%
・就活期間が長くなった      :31.9%
・組織に所属する意向が強まった  :31.7%
・国内で院に進学する意向が強まった:17.6%
・就活準備が早まった       :14.6%
・留学の意向が弱まった      :8.6%

中国も就職難

さらに厳しくなった学歴戦争

中国でも学歴社会は厳しく、名門校出身でも自分の行きたい企業に就職できないという場合も多数あります。

就職時に求められる学歴についての統計を見てみましょう。

企業が就活生に求める学歴】(2021年大学生就业力调研报告の調査)

※数値は2021年のもので( )内は2020年

・学歴不問 :15.80%(19.20%)
・短大卒  :43.90%( 46% )
・4年制大卒:28.40%(23.80%)
・大学院以上: 1.40%( 1.60%)

2021年は「学歴不問」の割合が減り、「4年制大学卒」の要求が上がりました。

以下、具体的に個々の体験談をみていきましょう。

中国の学歴社会

中国国内の名門校出身成苗の場合

成苗:chéng miáo211工程とよばれる著名な大学を卒業しました。

中国も就職難
https://ja.wikipedia.org/wiki/211工程


彼女は秋と春の就職説明会に参加すると同時に公務員試験にも参加しました。感じたことは、2021年は海外留学から戻ってきた大学院卒が多くなったことでした。

成苗は財経関係の大学で金融を専攻し、院まで出ました。金融専攻の学生にとって、よくある就職のパターンは2つだと言います。

①投資と融資に従事
②財務関係のしごとにつく

成苗は自分がトップ大卒(清華・北京・復旦大学)には勝てないから証券会社やファンドに行こうとは思いませんでした。

まわりの人は銀行を選ぶ人が多く、銀行は世間での聞こえもいいし、仕事の種類も多くて魅力的にうつったと言います。

そこで、銀行を就職先の第一希望にして、20の履歴書を送りましたが、書類審査に通ったのはそのうちの12前後だけでした。

1/3くらい書類審査で落とされたのです。

中国も就職難

成苗は2020年も秋の就職説明会に参加して5〜6の銀行の面接に出ました。そこで気づいたことは、学部卒がほぼいなくて、大部分が大学院卒であることでした。

周りの友達は始め、不動産やIT業界を希望していましたが、それに失敗し、銀行を第一志望にするようにしたと言います。

成苗はある中小非政策銀行の第二面接まで進みました。4人のライバルがいたわけですが、そのうち3人は海外の大学院をでた海龟:hǎi guī(これは「海帰(海外から帰ってきた)」と同じ発音なので、留学帰りの人をそう呼ぶ)で、残り一人は985工程の大学院卒(985工程は211工程の中から選ばれたさらなるエリート校)

中国の学歴社会
https://ja.wikipedia.org/wiki/985工程

成苗は自分の211工程という学歴もこの中では一番目立たない存在だと落胆したといいます。

中国も就職難

2020年中国海龟创业就业调查报告:zhōng guó hǎi guī chuàng yè jiù yè diào chá bào gào”(2020年中国海外帰国者による起業・就職の調査報告)によると2020年の海外留学から帰国した人の就活割合は2019年より67.3%も増加したそうです。

成苗はその後たまに求人を見るくらいで、ニートのような状態だと言います。彼女のクラスメート40人のうち、1/4が彼女と同じ状態であるといいます。

中国の学歴社会

留学帰りのエリート戴姝蔚の場合

戴姝蔚:dài shū wèiは211工程の大学で小语种:xiǎo yǔ zhǒng(英語以外の語学)を学び、就職に有利になるだろうとその国(おそらく日本)へ留学しました。

もともとはその国で就職しようと思っていたが、コロナ禍で就職どころではなく春節前後に帰国しました。

彼女は帰国後、世界は変わっていたことに気がつきました。「留学帰り」という身分はそんなに大きなメリットにならず、グループ面接では英語圏以外に留学したことは下から数えて2番目で、一番下でさえ上海のトップ校出身だったといいます。

競争はどんどん厳しくなっているのです。

中国も就職難

彼女が行きたかったIT会社が採用する人材の標準は985工程の国内エリート出身か世界大学ランキングでトップ30悪くて50に入る大学の院出身者でした。
(ちなみに2021年東京大学は36位、京都大学は54位。)

面接参加者のほとんどがアメリカやイギリス、香港のトップ校出身で、さらに大手でのインターン経験者でした。戴姝蔚は予想通り落とされてしまいました。

戴姝蔚は実家の山東省に帰り、そこの外資系企業でインターンをはじめました。しかし、同僚の能力や学歴が自分とは比べ物にならないくらい低く、同じ土俵にいないことに嫌気が差し、離職してしましました。

現在は公務員試験合格に向けて勉強中です。

中国の学歴社会

このように中国でも高学歴が優先され、就活も学歴戦争と化していて、「学歴不問」の企業は2019年から24.2%下がり、2020年は15.8%だけでした。

しかし、学歴は最初の判定で使うだけであって企業が求めている能力は他にあるといいます。主に

・継続して学び続ける力
・数値化して考えられる力
・ストレスに耐える力 
 

などのフレキシブルな能力であると言います。

就活において重視する要素(2021年大学生就业力调研报告の調査)

※数値は2021年のもので( )内は2020年

・給与&福利       :68.5%(60.8%)
・仕事と生活のバランス  :34% (30.5%)
・学びがあるかどうか   :31.8%(45.5%)
・安定しているかどうか  :29.8%(18.1%)
・キャリアパスが明確か  :23.9%(30.9%)
・業界や企業の将来性   :22.4%(29.3%)
・社員への保証制度    :20.9%(11.7%)
・自分の専門との適合度  :19.4%(20%)
・平等と尊重があるか   :14.1%(14%)
・趣味を仕事にしたい   :14% (12.7%)
・企業文化と価値観の一致度:7.7% (12%)

また期待する月給は2020年と2021年で4000〜6000元(6万8000円〜10万円)が最も多く40%を占めた。

おもしろいことに2019年の調査では期待する月給が高く6000〜8000元(10万円〜13万6000円)が最も多かった。

これはコロナの影響で、企業が給料を下げて、平均的給与も下がったからだと言っています。

また、教育業界に政府の制限が入ったことから、予備校などの大会社は大規模な人員整理を実行し、多数の教師がリストラされました。

これも今年実施された三人っ子政策のためだと言われています。
>>中国「三人っ子政策」スタート!一人っ子政策からの歴史も解説!

このように就職難にあえいでいる若者たちは、中国ビジネスにおいてのキーワードでしたね。

以下の記事でも若者の実態を紹介していますので、さらなる理解を深めてくださいね。

これからのビジネスではこの若者の世代が取引相手になるのです。
>>寝そべり主義?躺平主義?中国ビジネスのキーワードは「若者」

中国の学歴社会と就職難

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