中国ビジネス情報

中国のストロー革命!紙・ステンレス・PLAなど環境に配慮したビジネスへ

こんにちは!ちゃいなサプリのYuki(@YukiHiroi)です。

中国ビジネス情報誌『商界』第688期(※さらに第567期の『第一财经』から該当部分を追記)に紹介された記事より、表紙を飾った人物、楼仲平:lóu zhòng píngのビジネス術をご紹介します。

動画版もあります

楼仲平は「吸管大王:xī guǎn dà wáng(ストロー王)」という呼称を持つストロー生産会社双童:shuāng tóng-日本語名は義烏Soton日用品株式会社(リンク先は日本語版のHP)の創業者であります。すでにストロー業界の3分の2の専売特許を取得し、多いときでは世界で生産されるストローの4分の1以上を占めていました。

この記事はビジネス情報誌『商界』と以下のインタビューを元に作成しています。中国語がおわかりの方はインタビューもご覧くださいね!

極貧だった幼少期〜青年期

楼仲平の生まれは浙江省義烏市(浙江省义乌市:zhè jiāng shěng yì wū shì)、ここは日本とも縁が深いところで、100円ショップの製品のほとんどはここで作られています。1965年にここで誕生しました。中国でも日用品などの生産で名が知られているところですが、当時は極貧地でした。人口が多い割に土地は狭く、穀物不足が常でした。

货郎担:huò láng dānと呼ばれるバケツやほうきなどの日用品を担いで売り歩くというものや廃棄物収集歯ブラシ売り、他には電子腕時計を売ったり、流行ったものには手を付けていったと言います。

15年このようなことをやったが成功することもありませんでした。
本人はその原因を「選択と集中をしていなかった」「一つのことを長く続けなかった」からだと自分を分析しています。

これらの教訓に加え、日本とドイツへ見聞を広めに遊学に行ったことをきっかけに「ストロー」一本でやっていこうと決めました。

くじ引きで「ストロー」に?

当時彼の出身地である浙江省義烏市では雑貨売り場の場所取りが行われ、彼と彼の奥さんも参加しました。引き当てたくじは「日用品雑貨」の売り場。

この時に「ストロー」に出会いました。この頃は現地で生産していたのではなく、広州から輸入していたそうです。ストローを選んだ理由は仕入れ値が一番安かったから。

運命の出会い

ある日、一人の男が「誰かストローを作る機械を欲しがっている人知らんかね?私はもう作るのやめたから売りたくってね。」

楼仲平が値段を聞くと5万元(約85万円)と言います。楼仲平はその日は「周りの人に聞いてみるよ。」といって話は終わったのですが、家に帰って妻と相談しました。

どうせ義烏市では作っている人いないし、1本作る原価も約0.008元(約0.1円)と安い。これなら自分たちで作ろうということになったそうです。

それ以降、売るのは人を雇ってその人に店に出てもらい、自分たちはストロー作りに専念したといいます。

パクりパクられ

その後、自分の製品として販売するようになりましたが、管理局から「この商標は他社のものだから使うな」という警告が入りました。

楼仲平は「私達はこういったことは何もわかりませんから、どのように手続きをすればいいか、どのように自分の商標を登録すればいいか教えてください。」と素直に非を認めました。

その後、自分たちのロゴを作りました。

かわいらしいロゴですね!おそらく楼仲平本人と奥さんでしょう。

これで商標を侵害することなく自分たちのブランドが完成したわけですが、周りを見渡すとこれと同じロゴを使っている店や商品をたくさん目にするようになりました。

管理局に連絡して警告を入れてもらいましたが、商標やら著作権やらの概念はなく、一向に減る気配がありません。地方新聞数紙にもこの商標の使用を禁ずるなどという旨の内容を発表しましたが、効果がありませんでした。

仕方なく楼仲平本人が店に出向いて説得して回ったと言います。
これはうちの商標で、アナタはこれを使っているけど、それはうちの商品を宣伝しているということになっているんですよ。どうせ、売るなら自分の商品として売った方がいいでしょう。だから早めに自分のブランド商標を登録した方がいいよ。

その後、一気に商標登録数が上がったと言います。説得して回ったのが功を奏したのですね。

これ一本を生涯やっていく!

楼仲平はストローを売り始めたときに、「これなら一生やっていける」という不思議な感覚があったと言います。

大きく以下の3つを意識してやっているから業界トップの座にいられるのです。

①常に製品をアップグレードする
②国際スタンダードにった製品にする
③少数の顧客に集中する

ではこの3つについてもう少し詳しく見ていきましょう。

①常に製品をアップグレードする

技術や材料を同業者より良くするのはもちろん、製品の種類も常に増やしています。さまざまなカラーバリエーションを用意できるようにし、その上で、アニメの柄などを印刷するとか風車の形をしたものなど、形状もいろいろあります。

②国際スタンダードに合った製品にする

ストローの規格もさまざまで、厳しい規定も存在します。

業界スタンダード→中国スタンダード→国際スタンダード

このようにだんだん厳しくなって行くのですが、順を追って国際スタンダードの審査も合格しました。
よって、海外への輸出も可能になるわけです。

③少数の顧客に集中する

飲食店や会社などストローを必要とする顧客は多くはないですが、ターゲットをしぼって特定の顧客の要求に合うように作って来ました。

今ではタピオカブームなどもあり、顧客層は広がっていると言います。中国では毎月30店舗前後のタピオカ店ができているのです。

タピオカブームによって、今までは6mmのスタンダードストローが主流だったのが、今では12mmの大きめ(タピオカが吸えるサイズ)の注文が一番多くなっているようです。

この3つ以外にも資源の最小化効率最大化などももちろん追求しています。

新しいストロー

世界がプラスチック使用の削減に向けて動いていることに合わせて、デンプンを材料にストローを作るようにもなりました。

さらに楼仲平の会社にとって一番重要なのは「慣習を打ち破ること」と「組織を維持するための健康と活力」と言います。
自分の利益だけを追求していたのでは、時代の変化の中で挑戦することなどできないと強調します。

スターバックス中国は2020年から全店舗でプラスチックストローの使用を停止することを発表しました。これで毎年10億本のプラスチックストロー減少につながります。

マクドナルド中国は2020年6月30日にプラスチックストロー使用停止を発表しました。これで毎年400トンのプラスチック減少につながります。

このように環境に配慮することは国をあげて実施されています。
これからの中国経済と金融の発展の10トレンド!「十四五計画」とは?中国経済の「今」を読み解く!

PLAストロー

そこで注目されているのがPLA樹脂(ポリ乳酸)と呼ばれる植物由来のプラスチック。

トウモロコシ→トウモロコシデンプン→(分解)→多糖→(発酵)→乳酸→(添加剤)→プラスチック(液体)

という流れでできる本来のプラスチックに比べると植物由来であるだけに環境にやさしいと注目されている代替品のようです。自然界で分解されるまでは3〜10年かかりますが、300〜500年かけても分解されない本来のプラスチックに比べればはるかにましだと筆者は言います。

原料コストは2018年は1トンあたり、約1.8万元(31万円)だったのが、2019年の年末に約3万元(51万円)まで上がり、さらに2020年には約5万元(85万円)まで増加しましたが、現在は約3万元(51万円)で落ち着いています。

紙ストロー

紙ストローは2020年11月には1トンあたりの原料コストが約4500元(7.8万円)だったのが、2021年5月には約7100元(12.2万円)にまで上がりました。

紙の原料が値上がりしていて、今後、紙類の価格が上昇する可能性があることは以前の記事で紹介しましたね。あわせてチェックしてみてください↓
中国がインフレでやばい!紙の値段上昇が豚肉より速い【中国経済の今を知る】

ストロー比較(プラスチック・紙・PLA・ステンレス)

材料によってコストや利点・欠点が異なります。それを比較してみましょう。

プラスチック

コスト : 約0.01元(0.17円)/本
耐熱温度: 約80度以下
保存期間: 約5年
利点  : 性能が安定している。生産容易・低コスト
欠点  : 分解不可・環境に悪い

コスト : 約0.02~0.03元(0.34~0.51円)/本
耐熱温度: 約65度以下
保存期間: 約2〜3年
利点  : 生産容易・分解可能
欠点  : 使用感が劣る・すぐ柔らかくなる・もろい

PLA

コスト : 約0.04~0.05元(0.68~0.85円)/本
耐熱温度: 約80度以下
保存期間: 約1年
利点  : 分解可能・使用感がプラスチックストローに近い
欠点  : コスト高・保存期間が短い・もろい

ステンレス

コスト : 約0.3元(3.4円)/本
耐熱温度: 約90度以下
保存期間: 規定なし
利点  : 繰り返し使用できる
欠点  : コスト高・使用感が悪い・洗う手間がかかる

活力ある会社の作り方

楼仲平曰く、活力のある組織を形成する上で最も重要なのは「分権」だといいます。

権力を授けるのはマネージャー育成のためのやり方で、
権利を分散することこそ新規開拓者を育成できるのです。

このために彼は自分の時間の大部分を読書思考組織の指導に当てています。
まともな教育も受けておらず、14歳から廃品収集などを始めた彼は、未だに字が書けないのです。

そして彼は毎日読書して勉強していると笑います。

俺は浮気はしない!しないんじゃないかな?ま、ちょっと覚悟はしておけ。

業績も上がって、向上を引っ越ししたときにその規模を見て、「ここでストローだけを作るのはもったいない。」と思い、使い捨てコップやプラスチックのスプーンフォーク,ラップなどの製造も考えました。

そして機械を導入し、生産を開始しました。ちょうどその頃父親が末期の肺がんと診断されて、その後他界。

父親は子供の頃、道端で雑貨を売っていた時代からずっと一緒に商売をしてきて、今では会社の財務を任せていた。そんな父親がいなくなっては何もできない。

失望していた矢先、今度は自分が病気で9ヶ月入院することになってしまいます。

退院後は工場にある機械を全て安値で売り叩き、やはりストロー1本でやっていくことを決意します。

彼の経営哲学の核心は《専念・革新・WinWin》で、27年経った今でも1つのことに集中していくということが重視されているのです。

ストローより儲かる。だから…

会社が成長していくにつれて、おいしい話も増えていくもので、楼仲平のもとにも様々な儲け話が転がり込んで来ました。

工場を移転する際には、「この工場でストローを作るんじゃなくて、他に貸し出せばその賃貸料だけでストロー生産で生まれる利益よりはるかに大きな利益になる。」という話がありました。

ストローは1000本売って、利益が約0.8元(約13円)ですから利益率の小さいジャンルなのです。

他にも不動産業などの誘いがたくさんありました。奥さんは少し心揺さぶられて、楼仲平に相談したそうです。

しかし楼仲平はこう言いました。「儲けられるからこそ、一度手を付けてしまえば、ストローで稼ぐのに嫌気が差す。俺はストローには有る種の愛着があるし、ストローでここまで来たんだから手放したくはない。

数十年のビジネス経験から彼はこう悟りました。
もう設備や工場などに投資して利益を得るというモデルは終わった。

そして続けます―でも唯一投資する価値があるものがある。それは「若者」だ。

唯一投資する価値があるもの―「若者」

2020年のコロナ禍において、多くの業界、会社、工場で給料削減が行われました。そんな中、楼仲平は4月3日、社員会議でこう発表しました。

生産者、管理者すべての人の給料を30%UPする

これはもちろん作戦で、給料をUPすることで注目を集めて能力の高い若者を会社に入れたいということなのです。これほど、若者に対する可能性を重視しているのですね。

若者は中国ビジネスでのキーワードでしたね。仕事でも取引先の相手は若者の場合が多いのではないでしょうか。以前の記事をまだチェックしていない人はこちらからどうぞ↓

2021年の中国の若者―寝そべり主義?躺平主義?中国ビジネスのキーワードは「若者」

副工場長は26歳

若者を重視している例として、2011彼は26歳の若者李二桥:lǐ èr qiáoを副工場長に抜擢しました。
また国内マネージメント部門は全て90后:jiǔ líng hòu(1990年以降生まれ)

若者を重宝していることがよくわかりますね。1965年生まれの彼は若者と一緒にいるのが唯一の楽しみとも言います。

タバコもお酒もやらず、ずっと若者と一緒にいて抖音:dǒu yīn(中国版TikTok)に動画をUPしたり、さらに乗っている車はテスラで、スマホやPCはアップル製品を使っていて、今の若者と何ら変わらないと従業員は言います。

ここ数年で学んだこと

45歳以上に達した管理職の職員は一律、第一線から第二線に退いてもらう。顧問になるかもしくはエンジニアになるか。

若者を重視する楼仲平はこのようなルールも作りました。

彼はここ数年勉強してきたことの一番の成果は、何かを得られたということではなく古い概念や考え方を捨てられたことだと言います。

自己の主観でしかモノを見られなかった「有我」からそういった先入観を一切消し去った「無我」に移行できたことが一番の成果だと。

―「すぐに荒々しくなることもなくなり、権威もだんだんなくなり、簡単に正誤で人と討論することもなくなってきました。

ファーウェイ創業者の言葉

今まで何人もの会社や出版社が楼仲平に書籍出版をけしかけましたが、彼はそのたびに断ってきました。

字が書けないことが原因かと、執筆者を派遣してきた出版社もあると言います。しかし、楼仲平は断ります。理由は自分に対しての自信がどんどんとなくなってきていること。時間を前にしては、経験には消費期限があると。

そして彼はファーウェイの創業者である任正非:rèn zhèng fēiの言葉を引用します。

「一個人がいくら努力しようとも時代の歩調に追いつくことはできない。ましてこの知識爆発の時代はなおさらである。数十人、数百人、数千人を組織して一緒に努力し、その上に立っているものがやっと時代の足に触れることができるというものだ。時代を前にしては、技術がなにかますますわからなくなり、財務が何かわからなくなり、管理もわかったようなわからないような。」

ファーウェイの創業者任正非

ストローをインテリアに

廃品回収をしていた少年楼仲平の人生を変えたストロー。日本で売られているもののほとんども彼の会社のもの。
彼の物語を知ったあとはストローへの見方も変わりますね。
ストローを部屋に飾って、このビジネス精神を感じ取ってください。

日本製のストローもあります!

他にはステンレスのストローなども

SUTENAIという日本の会社も環境に優しいストローを作っています。 これはめざましテレビでも紹介されました!

最後までご覧くださりありがとうございました!

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