こんにちは!ちゃいなサプリのYukiです。
中国ビジネス情報誌『销售与市场』第711期に紹介された記事から紹介します。
この記事では90%の会社のマーケティング部門が低効率で生産性の低い仕事をしていると指摘しています。
そしてこれはそこに所属している人間のそのブランドの本質に対する認知の誤解が関係あると言います。
これらの問題を解決するために、4つの反常識的考察が提示されています。
その4つの考え方はこちら↓
マーケティングにおいて重要な位置を占めるこれらの考え方についてくわしく見ていきましょう。
動画版もあわせてどうぞ↓
1・貧乏父さん思考 VS 金持ち父さん思考
これはロバート・キヨサキ著の『改訂版 金持ち父さん 貧乏父さん:アメリカの金持ちが教えてくれるお金の哲学 (単行本)』という書籍で紹介されているファイナンシャル・リテラシーに関する考え方です。
ちなみに、中国語版は“富爸爸,穷爸爸:fù bà bà ,qióng bà bà”
そして本ビジネス誌の筆者は長年のブランディングコンサルタントとしての仕事を通して発見したことがあると言います。
それは多くの企業はブランディングにおいて「貧乏父さん思考」をしているということ。
つまり、ブランディングにかかった費用はすべて負債や消費で支払った価格に対しての見返り(ROI)を重視して、見返りが少ないようならそれを損失と決めつける思考です。
反対に、大いに発展している企業はブランディングにおいて「金持ち父さん思考」をしています。
お金を使うときに見極めは厳しく、行動は早く・正確で断固としています。
そして、お金を使った人・物・財のすべてを「投資」と考えます。
今日投資して、それが10ヶ月見返りがなかったとしても落ち着いていられるのです。
マーケティングとブランディングのちがい
「貧乏父さん思考」 →マーケティング
「金持ち父さん思考」→ブランディング と言えると筆者は言っています。
というのも本質的にマーケティングは変化に対しての戦略設計であり、ブランディングは長期の戦略的投資であるからです。
マーケティングは最新の傾向をおさえておく必要があります。中国ではSNSマーケティングも盛んです。
なので、抖音:dǒu yīn(中国版TikTok)が流行れば抖音を勉強し、微博:wēi bó(ウェイボー)が流行れば微博を勉強し、B站:zhàn(BiliBili:中国の動画サイト)が流行ればB站を勉強しなければなりません。
その時その時で一番効果のあるツールの使い方を覚えて、成果を出していく必要があります。
多くの人にリーチできる方法でなければ、マーケティング効果は上がらないのです。
>>【中国のWebマーケティング】使われるSNSは〇〇!”两微一抖一手一书”(全部で5個あります。)
ブランディングは消費者にこのブランドは良いと思わせる必要があります。投資家の目に映る企業規模や成長スピードではないのです。
ここでは女性インナーブランドのユーブラ(UーBra)が例に挙げられています。
中国でのブランディングにおいて、「貧乏父さん思考」を使って失敗しました。
人気の有名人を起用してできるだけ多くの若い女性にリーチしようとトークショーで一躍有名になった李诞:lǐ dànという男性を起用しました。
このときのキャッチフレーズが“让女性躺赢职场:ràng nǚ xìng tǎng yíng zhí chǎng”(女性を職場で何もしなくても勝たせる。)といったものでした。
この躺赢:tǎng yíngは躺着就赢了:tǎng zhe jiù yíng le(何もしなくても勝った)という言葉の略語でオンラインゲーム「リーグ・オブ・レジェンド」(LOL)で流行った言葉です。
ちなみにこの躺:tǎng(横になる・寝転ぶ・寝る)という単語は今の若者を形容する言葉としても使われて日本でも有名になりましたね。
それが“躺平:tǎng píng”日本語では躺平(とうへい)主義とか寝そべり主義、横たわり族などと言われます。
くわしくは→中国イマドキの若者―寝そべり主義?躺平主義?中国ビジネスのキーワードは「若者」
このキャッチフレーズが女性の怒りを生みました。
「セクハラ的で差別発言。」
「職場での暗黙の了解を象徴している男尊女卑発言。」
「男がイメージキャラクターをつとめる意味がわかんない。」
「こんな男を起用するなんて悪意があるとしか思えない!」
「女性が職場で目に見えない差別にあって、同じ仕事内容でも給料が違う現実をしらないくせになにが〈何もしなくて勝つ〉だよ!」
このようにあるきっかけで失敗することを中国のネット用語で翻车:fān chēといいます。直訳すると「車が横転する」という意味です。
消費者から評価されるのがブランディングであるのに、消費者にリーチするだけ、ただ単に数値だけを気にしていたマーケティングのような方法でアプローチしたために失敗したわけです。
このようなリスクがありますから、企業側はバーチャルヒューマンと呼ばれる2次元や2.5次元のキャラクターを起用するトレンドも生まれてきています。
>>バーチャルアイドルの時代到来!世界で2次元〜2.5次元のバーチャルヒューマンたちがインフルエンサーとして活躍している!
ちなみに、以前のイメージキャラクターは欧阳娜娜:ōu yáng nà nàという歌手であり女優、かつ著名なチェロ奏者です。
そしてこの人はジャッキーチェンの息子ジェイシー・チャン(房祖名:fáng zǔ míng)の彼女でした〜。今もまだ付き合っているのかは不明です…
2・「木を見て森を見ず」のブランド観
アメリカのマーケティング戦略化で「ポジショニングの父」と呼ばれるジャック・トラウト(Jack Trout)はこう言っています。
「ブランドは消費者の心の中の最も有利なポジションをとるもので、競争に戦わずして勝つための道具なのだ。」ポジショニング戦略[新版]
しかしこの定義は今では正確なことを表していないと筆者は言います。これは投資の観点から見たブランドの雪だるま効果であり、創始者やCEOから見れば実践的には意義が明確ではないのです。
良いブランドは恋人のようだと言います。
近くにいるだけで、ほかのブランドに目もくれずにただそれだけに心奪われ、もっと知りたいと思い、理解し、愛する存在へと変わっていくと。
そして良いブランドは特定のユーザーから極端にひいきされ、そのブランドしかないという状態にまでなり、そのためにブランドのプレミア価格を喜んで払ってくれるのです。
この「特定のユーザー」とはどのようグループを指すのでしょうか?
―それは純粋なファンで積極的にブランドをフォローしてくれる人たちです。
そしてその「特定のユーザー」たちの利益になるポイントを提供し、このブランドしかないと思わせるような購買理由を作ることで継続的に購入してもらえます。
さらにブランドのためにプレミア価格まで払ってくれるのです。
ここで良い例としてあげられているのは、中国で新しくできたアイスクリームのブランド”钟薛高“:zhōng xuē gāo(Chicecream)です。
中国のアイスクリーム市場では有名所が市場の75%を占めていましたが、このブランドは登場してたったの8ヶ月でタオバオのセールである11月11日にはアイスクリーム類で売上1位を達成しました。
主なタオバオセール日はいつ?中国輸入をしている人必見!2021年最新タオバオ情報!
また厄瓜多尔粉钻:è guā duō ěr fěn zuànというアイスは1本66元(約1130円)と高価ですが、1日に2万本売り上げた実績もあり、消費者から「アイス界のエルメス」などと称されています。
ではいつ、どんなことをすれば良いのかについて見ていきましょう。タイミングが良いときに必要なことをすれば、それだけで効果は上がるものですからね。
3・決定的「瞬間」と決定的「行動」
ブランドも万能というわけではなく、企業が創立されたらすぐにブランドが立ち上がるということはないのです。
初期段階(0〜1)の企業がまずやるべきことは迅速な顧客獲得です。成果を出し、マーケットで安定した地位を築く必要があります。
この段階では企業は時間を使い、戦略を練らなければなりません。
先にブランド戦略を立て、その後予算内でヒット商品を作り出し、知名度を上げていくのです。
知名度を上げるにはさまざまな方法がありますが、以前紹介したテーマソングをバズらせて一躍有名になったタピオカ店が参考になるでしょう。
>>中国タピオカ店が暴露した「SNSのバズらせ方」ポイントはパクリ?UGC・PGCって知っていますか?
中期段階(1〜N)の企業は、標準化を開始する必要があります。顧客流入のチャンネル(実店舗・SNS・サイトなど)や内部のプロセス、製品、研究開発、さらにはブランドの表現まで標準化させます。
これができたらブランドは集中して力を発揮する時期に来たといえます。このとき、各方面において戦略を立てる必要があります。
このとき、効果がすぐに表れないからといってあせってしまうことも多々あるようです。
そして、ブランディングをやめてマーケティングに力を入れるようになり、最後はコストのかかりすぎて失敗するというのもよく見られると言います。
(N~N+1)段階は新ブランドを孵化させることで、これは二次創業に似ているといいます。親ブランドが新ブランドに花を添えてくれるかどうかは運次第だそうです。
例えば、立白:lì báiという洗濯石鹸の大手ブランド企業は、
半月浮生:bàn yuè fú shēng(CATKIN)というコスメブランドを孵化させました。このブランドは日本でも売られています。気になる方はチェックしてみてくださいね!
中国のコスメブランドのマーケティング法は以前紹介しましたね!まだの人は要チェック!
人気の中国コスメブランド(花西子・完美日記・自然堂)高まる「中国ブランド」の存在感。SNSマーケティングで大勝利!
この洗濯石鹸ブランドが生んだ新コスメブランドは、プラスのイメージがありますか?それともマイナスですか?もしくは0のままでしょうか?
筆者は消費者は何も感じないのではないかと言っています。
まったく畑の違う分野にブランドを生み出したところで、親ブランドからのメリットも何もないのです。
つまり、この会社は新たに0から1のブランドを作ったにすぎないのです。
できるだけ回り道しないで済む方法を考える必要があります。
ポップアップストアという短期間だけオープンする小店舗という方法も今では主流となっています。
くわしくは→ポップアップストアが中国で大流行!10年で5兆円ちかくの市場規模―成功できるジャンルは〇〇!
では最後に以下、5つの重要事項を見てみましょう。
4・ブランディングの5つの注意点
①ポジショニング理論を信じすぎない
②ポジショニングでは時代の流れに乗る必要がある
③ヒット商品は刷新&変化が求められるが、核心的価値は変わらないことを忘れるな
④ヒット商品が出たとしても、それはブランドの成功を意味しない
⑤低価格で獲得した顧客はブランドへの忠誠度も低い
マーケティング以外にもブランディングも重要なのですね。
マーケティングとブランディングはこれからの教養と言っても良いでしょう。さらにブランディングについて理解したい方のためにおすすめ書籍を3冊ご紹介します。
★中国語勉強中の方へ
「ちゃいなサプリ」のYouTubeでも中国語文法を1から解説しています。
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最後までご覧くださりありがとうございました!
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(中国では海外のサイトにアクセスするときにVPNというものが必要です。本記事も中国から執筆しています。)
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