こんにちは!ちゃいなサプリのYukiです。
中国ビジネス情報誌『销售与市场』第718期に紹介された記事から紹介します。
中国のソーシャル・ネットワーキング・サービス“豆瓣:dòu bàn”では
“省钱:shěng qián”(お金の節約)というスレが立ち上がり、
数十万人の若者たちがお金の節約方法を話し合っています。
※“豆瓣:dòu bàn”は2021年12月10日に当局によって削除された。理由は当局の要求どおりにアプリの運営を行っていなかったからだと発表。
割引やセール時に買い物するとか、クーポンや割引適用額に達するまでまとめ買いするなどして生活コストを抑えようとします。
彼らは主に大都市で働いている若者たちで、本当の定収入というわけではないのです。
無駄遣いをせず、コスパよくお金を使おうとしているのです。
このような若者の考え方や行動はビジネスに影響してくるのですね。
中国ビジネスのキーワードは「若者」でした。
中国の若者―寝そべり主義?躺平主義?中国ビジネスのキーワードは「若者」
このお金を節約する若者たちが増えたことで、消費期限切れ間近の商品が安い価格で売られるという新しいビジネスが誕生しました。
以下くわしく見ていきましょう!
ディスカウントスーパー:「消費期限切れ間近商品」ビジネス
まず「消費期限切れ間近の商品」がどのように供給されてくるのかをみてみましょう。
おもに3つの経路があります。
1:大型商店での売れ残り
2:ECサイト(ネット商店)での売れ残り
3:業者から直接仕入れる
市場規模はどれくらい?
ではこのような「消費期限切れ間近の商品」を販売するというビジネスの市場規模はいったいどれくらいなのでしょうか?
直接的な統計はないため、推測の値になるのですが、本誌ではこのように計算しています。
2020年の中国お菓子業界の市場規模は3万億元(54兆円)あります。
この中で5%が在庫に残っていて、それを7割の値段で販売するとした場合でも450億元(8,000億円)以上になります。
消費期限の3分の1を超えた食品(例:消費期限が30日の場合、10日を超えた食品)は正規のルートでは流通できないようになっています。
これらは消費期限間近の食品としてみなされ、低価格で処理されるようになります。
大量の「消費期限切れ間近」の食品が余ってしまっていることと、若者のお金の節約ブームが相まって、安く販売されるこれらの食品に人気が集まっているのです。
「消費期限間近の商品」専門店
中国では食品や飲料を扱う貿易会社1社だけで毎年約100万個前後の「消費期限間近」の商品が出ています。
損失は毎年数十万元(数百〜数千万円)で、このような会社が中国全国で少なくとも10万社はあるとされています。
また2021年4月29日に中华人民共和国反食品浪费法:zhōng huá rén mín gòng hé guó fǎn shí pǐn làng fèi fǎ(反食品浪費法・食べ残し禁止法)が発布されて、食品の浪費を厳しく取り締まるようになりました。
中国で新しい法律「食べ残し禁止法案」(反食品浪費法)が可決!大食い動画も罰金の対象に?
そしてここにビジネスチャンスを見出した企業に“好特卖:hǎo tè mài”(Hotmaxx)というディスカウントスーパーがあります。2020年9月の時点で見積もり価格は5億ドル(570億円)にのぼりました。
販売しているものは80%がスナック類で20%が日用品となっています。
同じく“嗨特购:hēi tè gòu”(HitGoo)というディスカウントスーパーは10億元(180億円)以上だとされています。
ディスカウントスーパーのビジネスモデル
《2020年中国临期食品行业市场分析及消费者研究报告:zhōng guó lín qī shí pǐn háng yè shì chǎng fèn xī jí xiāo fèi zhě yán jiū bào gào》という消費期限間近の商品を扱う業界のマーケット分析及び消費者についてのレポートによると、
消費者の主体は若者で、26ー35歳が47.8%を占めるそうです。
こういったディスカウントショップは若者をターゲットにシフトしていき、今までは多くが住宅街で開店されていたものが今では若者が集まる商業圏でオープンするようになってきました。
上で紹介した“好特卖:hǎo tè mài”(Hotmaxx)は中国全国で150店舗以上オープンしていて、そのうち上海だけで80店舗以上になります。
ターゲットを若者にしていることから大都市の上海でのオープン率が高いわけですね。
フランチャイズ式
“好特卖:hǎo tè mài”(Hotmaxx)がフランチャイズ式をとっていることも急速な拡大のひとつの理由です。
35.98万元(642万円)を投資すれば店舗を持つことができ、毎月利益の12%を受け取れる仕組みになっています。
フランチャイズ式は「会員制」ビジネスと似ているところがありますね。“好特卖:hǎo tè mài”(Hotmaxx)は出店費用、つまりは会員費が主な収入源なのです。
これはコストコのビジネスモデルに通ずるところがありますね。くわしくはこの記事を読んでみてくださいね!
会員制ビジネスは最強です!成功事例はコストコ。オンラインサロンをはじめたい人も必見!
消費期限間近のものを販売するディスカウントショップでは一般的に粗利は40〜70%ですが、繁盛している店舗では家賃や人件費などのコストを差し引いた純利益だけで40%に達すると言われています。
「消費期限間近」ビジネスの問題点
消費期限間近の商品が入ってくるルートは主に3つあることを上で紹介しました。
もう一度みてみると
1:大型商店での売れ残り
2:ECサイト(ネット商店)での売れ残り
3:業者から直接仕入れる
問題点としては、消費期限が近づく前にはどれくらいの商品が流れてくるのかわからないということです。
ブランドから直接仕入れるルートを持っている大型企業でも同じ問題に直面していると言います。
ブランド側はヒット商品を作って、在庫はできるだけ減らしたいと考えます。在庫が0になるのが最善であるのです。
一方でディスカウントスーパーはできるだけ多くの商品を安定的に流してもらいたいのです。
このようにお互いの利益と合わないことが安定的供給につながらないのです。
これではWin-Winの関係にはなれないわけです。
スピード勝負
このようなディスカウントスーパーでは価格の面では安く設定できる分優勢と言えますが、消費期限ギリギリの商品を仕入れているため、店舗に置いておける時間が短いというのが難点です。
すべてのプロセスで時間短縮をはかる必要があり、店舗に届くまでの物流にまで気を使わなければなりません。
プレッシャーは相当なものだといいます。
消費者のリピート率が低い
消費者はこれらの商品を買うのはやはり低価格であることが挙げられます。
しかし、消費期限間近の商品に対しての需要が固定的なものではなく、さらに周期的に必要とされたり、欲しがられるということもないのです。
購入する理由も、割引があったり他の店より安かったからというわけです。よって、このようなディスカウントスーパーのブランドが認知されたり、信用を形成するのは難しいのです。
ステップアップ
上記の“好特卖:hǎo tè mài”(Hotmaxx)の創業者は日本のドン・キホーテを参考にしたと言われています。
なので今回はドン・キホーテのビジネスについての関連書籍を載せておきます。
今回の内容については以下の動画でも解説しているので、ぜひご覧ください^^
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