ビジネスハック

【売上を大幅に上げる方法】シチュエーションから考えてペインポイントを解決しろ!

中国ビジネス情報誌『销售与市场』第715期に紹介された記事から紹介します。

商品の売上が伸び悩んできた場合、多くは商品の種類を増やそうと考えます。

たとえば、牛乳を売っている会社なら、低脂肪牛乳や乳製品をラインナップに入れようとするでしょう。

しかし、一般的に消費者は牛乳と低脂肪牛乳や乳製品を同時に購入することは極めて稀なのです。

シチュエーションマーケティング

商品の種類を増やすという方法は、短期的には売上が伸びるかもしれませんが、長期的にみるとただ宣伝にかかる資源が増えるだけで、企業の成長につながるのではなく、企業の負担になってしまうのです。

では、どのようにすればこの壁を打ち破ることができるのでしょうか?

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その商品が必要とされるシチュエーションから考える

商品のラインナップで売上を向上させようとするのではなく、その商品が必要とされるシチュエーションから考える。」というのが売上を向上させる秘訣だといいます。

ではこの考えで、さきほど例にあげた、牛乳について考えてみましょう。

まず、牛乳は家庭で消費されるもので、主な購買層は25〜45歳のお母さんたちです。

朝ごはんの時間にお母さんたちは牛乳を出すのですね。そしてこの目的は栄養補給エネルギー補給です。

シチュエーションマーケティング

その観点から見ると、2つのアイデアが生まれます。

1・牛乳の中にシリアルなどの穀物を添加
空腹を満たすことができ、これはエネルギー補給になります。

2・牛乳の成分強化
タンパク質含有量を増やしたり、カルシウムや亜鉛を添加することで効率よく栄養補給ができます。

乳製品が求められるシチュエーション

中国では家族の誰かが子供を学校まで送るのが普通ですが、そのときに子供のかばんにおやつを入れたりします。

そのときに人気があるのが、チーズスティック。中国では“奶酪棒:nǎi lào bàng”といいます。

かさばらないし、甘みもあって子供も大好きで、さらに栄養もありますから子供のおやつとしてもちょうど良いのです。

シチュエーションマーケティング

午後は働いているお母さんたちは仕事も一段落つき、小腹も空いてきたころです。午後3〜4時は会社の近くのコンビニでおやつや飲み物を買う人が多いです。

乳製品であれば、ヨーグルトが選ばれることが多いようです。

ヨーグルトは独特なマーケティング戦略で成功している会社を紹介しましたね。
ヨーグルト販売から学ぶ中国マーケティング戦略!SKU管理とは?

ミルクビールなんていうビールのような味がする乳製品でアルコールがないという不思議な飲み物も中国で流行っています。

↓のブログ内の動画ではミルクビール試飲もしてますので、ぜひチェックしてみてくださいね!
>>中国で大ヒット中のミルクビールとは?新疆ウイグル自治区の不思議な飲み物

一日の終りにホットミルクで睡眠の質を高める人もいることでしょう。

このように朝の牛乳→チーズスティック→ヨーグルト→寝る前のホットミルク
ちがった場面でそれぞれちがう乳製品をお母さんたちは買っていることになります。

一見、品目が4種類に増えたようですが、ターゲット顧客は依然として同じなのです。

これはまさしく「品揃えの拡張」と「シチュエーションの拡張」のちがいなのです。
そのちがいは以下の通り。

シチュエーションマーケティング

品揃えの拡張
いくつかの商品バリエーションを用意して、層のちがう消費者の需要を満足させること。

・シチュエーションの拡張
いくつかの商品バリエーションを用意して同じ層の消費者の需要を満足させること。

このように品揃えは商品中心シチュエーションは消費者中心の考え方なのです。

シチュエーションの拡張」がキーポイント

品揃えの拡張」がもたらす問題として、商品の種類が増えることでそれぞれ別途にマーケティングすることになり、費用も人的資源も消費してしまうということがあげられます。

対象となる消費者も違いますから、それぞれの要求もことなり、リーチする方法もことなるわけです。

この方法で売上を上げるというのも典型的なやり方で、単に量を増やすというものです。

シチュエーションマーケティング
シチュエーションマーケティング

一方で、「シチュエーションの拡張」にはマーケティングを同じ消費者層に集中させられるというメリットがあります。

商品の種類が増え、生産段階ではかかる労力や資源が増えますが、ターゲット顧客は変わらず、それぞれ違ったシチュエーションでの需要を満足できるという点で、より深くサービスが行き届くということになるのです。

品揃えの拡張」はサービスを広く、「シチュエーションの拡張」はサービスを深く提供するもので、似ているようで実はまったく違うものなのです。

「広い」サービスと「深い」サービス

「広い」サービスは、消費者の需要をただ表面的に満足しているだけにすぎないのです。

一見、企業というお城のお堀の部分が広くなって、防御力が高まったように見えますが、実際には水深が浅くて、まったく競争力がない状態なのです。

反対に、「深い」サービスというのは、消費者の要求を深いレベルで満足させるもので、狭くて防御力のなさそうなお堀でも、水深は底なしで、ライバル企業もそう簡単には顧客を奪えないのです。

シチュエーションマーケティング

よって、「広い」サービスを提供する代わりに「深い」サービスを提供する、
すなわち、「品揃えの拡張」ではなく「シチュエーションの拡張」を採用してこそ、売上が上がる可能性が青天井になるのです。

シチュエーションの3つの意味

さて、ではこのシチュエーションとは一体なにを指すのでしょうか。

実はシチュエーションには3つの意味が存在するのです。

くわしく見ていきましょう。

1・シチュエーション=需要を見つけ出すこと

例えば、あなたが寝室家具のブランド会社で働いているとしましょう。この時、モノだけを売ろうとしてはいけません。

寝室では何をするか考えるのです。そうです「寝る」ですよね。そして「寝る」に関連したシチュエーションを考えて深堀りしていくのです。

すぐには寝付けない→本を読んだり、スマホをいじったりする→枕を背中において座りやすくする→そこへペットの猫がベッドの上に飛び降りてきた…

このように考えを巡らすと、3つの悩み(マーケティング用語では「ペインポイント」という。)が明らかになります。このペインポイントを解決することが目的なのです。

シチュエーションマーケティング

①背もたれに枕を使ってもしっくりこない

枕の位置を何度も変えたりして、座りやすい形を探しますが、座り心地は悪いままだったりしますよね。

このポイントを解決するアイデアを見つければそれがビジネスになります。

ベッドに座るとき用のクッションを作るとか、直接ベッドの背の部分を人体力学に合うように改良して、座り心地の良いようにするなど。

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②充電しながらスマホをいじりたい

スマホをいじっていても、バッテリーが気になったりしますよね。動画なんか見ていたらすぐにバッテリー減りますからね。

しかし、コンセントまで距離があったりすることが多いです。充電器のコードも短いですし…

そう考えた場合、ベッドの頭の部分にUSB充電口があれば親切じゃないですか?

③ベッドは猫の毛だらけ

ペットの毛がつきにくくて、ひっかいても破れにくいベッドシーツや布団があれば、飼い主さんたちの幸福度はよりUPすると思いませんか?

このように、在庫の数だけを考えていては新しいアイデアは出てきません。新しいアイデアを出して、業界をリードしてこそ売上も上がり、利益も増えるのです。

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2・シチュエーション=需要をつくり出すこと

朝ごはんを食べずに会社に来ました。午前中に2つの会議があって、気がついたらもうお昼。腹ペコで猫背になっています。

こんな時、外卖:wài mài(出前)アプリを眺めます。そして、無意識に選んだのは麦当劳:mài dāng láo(マクドナルド)でした。

どうしてでしょう?

まず、お昼時は配達に時間がかかる店が多いです。しかし、マクドナルドは30分以内に届けるというルールを設けています。これで時間のメドがつきますね。

またある時、チーム十数人の食事を注文するとなったときに選んだのもマクドナルドでした。みんなに何を食べたいか聞いていては時間がかかりすぎるけれど、マクドナルドなら嫌いな人は少ないという安心感からでした。

そして、食べるのも便利だし、すぐ食べ終えることができるというのも理由のひとつです。

シチュエーションマーケティング

自分のブランドのポジションというのは大切で、それがはっきりしていれば、選んでもらえるのです。すべてのシチュエーションで選んでもらうことは不可能なのです。

くわしくは以前の記事を参考にしてみてくださいね!同時にデザインについてのちょっとした知識もつきます。
>>マクドナルドのデザインの秘密!マックパイはどうして穴が4つあるの?パッケージが消費行動を変える!

3・シチュエーション=需要を呼び覚ますこと

歯ブラシがなくなったときに、まず思うのは「歯ブラシ買わなくちゃ!」ですよね。

そして、その後にどのブランドにしようか考えるわけです。
「先にジャンル、次にブランド」というのが消費者の思考なのです。

ビジネスとして何をしようか考えるときも、先にジャンルを考える必要があります。どのジャンルなら空きがあって、伸びしろがあるのか。

消費者がどのシチュエーションにおいても必要としないものを作ったところで、売上にはつながらないのです。

シチュエーション戦略でうまく成功した例に“超级植物:chāo jí zhí wù”(SUPER PLANTS)という会社が挙げられます。

くわしくは、マーケティングとブランディングの違いについての記事が参考になりますので是非チェックしてみてくださいね!
>>中国のブランディング戦略!これで中国企業はかなり稼いでいます

・自分で植え替えたりしたくないけど、かわいい鉢植えがいい!
・オフィスや部屋のインテリアとしてかわいい感じのものがいい!

という消費者の需要を見事実現しました。

シチュエーションマーケティング

请放松:qǐng fàng sōng”とは「リラックスして」という意味です。

「松」という字がありますね。
こんな感じの遊び心が人気の秘密です。

シチュエーションマーケティング

これは苔の上に羊がいて、寝るときに羊を数えるということから寝室のインテリアです。
小さな草原のようですね。

ほかにもかわいらしい観葉植物がたくさんあります。購入する人も植物がほしいからというわけでは無く、かわいいインテリアがほしいから購入しているのです。

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以上です。ありがとうございました。

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(中国では海外のサイトにアクセスするときにVPNというものが必要です。本記事も中国から執筆しています。)

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