上海がロックダウンして市民がパニックになっていることが日々報道されています。
では今の上海はどのような状況なのでしょうか?
上海にいる日本人の方たちの状況はインタビューで紹介されていますけど、上海にいる中国人の方たちはどうなのでしょうか?
受け取る物資はどのようなものかも気になりませんか?
またNHKでも紹介された『四月の声』という動画はネット上であの手この手でUPされては当局に削除されるというのを繰り返しています。
この動画はなんなのでしょうか?
ちなみにこの動画に日本語字幕をつけたので、リンクも貼っておきますね。
このような現状をお伝えすべく筆者は上海で仕事をしていたときの同僚たちに連絡して現状を聞いてきました。
画像つきで紹介しますので、いまの上海の様子がよくわかると思います。
ロックダウンした上海の状況〜うわさの動画『四月の声』とは?
ネット上で拡散され、それを当局が削除しては、ネット民はいろいろな手をつかってUPしているという状況がNHKでも紹介されました。
その動画の名前は“四月之声:sì yuè zhī shēng”(四月の声)という名前です。
これがネット警察の検閲にひっかかるということで名前を変えてUPしているひともいるくらいです。
動画を開くと、このように削除されていることが表示されます。
ちなみにこの動画に日本語字幕を付けたので、下に載せておきますね。
この動画はいままで削除されてきた動画たちのダイジェストのような感じで、多くの市民の生の声が紹介されています。
・当初政府は封鎖しないと言っていた。
・救急車や隔離施設が足りない。
・上から適切な指示がない。
・物資が届かない。
・ペットが叩き殺される。
・建設途中のコンテナに隔離される。
・病気が悪化しても受け入れ先がない。
では以下で、上海に住む中国の方たちへの聞き取り調査をもとにくわしくご紹介していきます。
ロックダウンが延長で市民ブチギレ
3月15日の時点ではロックダウンしないと上海政府が言っていたことは動画でも紹介されていますね。
その後、3月28日に浦东:pǔ dōng (浦東)という上海の東半分の地域をロックダウンしました。
もともとの計画では東と西に分けて、順番にロックダウンしていく(最初は東側3/28-4/1→その後は西側4/1-5)というものでした。
西がロックダウンしているときは東側は解除するというものです。
しかし、上海は4月5日から上海すべて(市民2,500万人)を対象にロックダウンすると発表したのです。
それで市民や都市の混乱を招くことになりました。
話を聞いた知り合いたちで一番長い人ですでに50日家に閉じ込められているという人がいました。
彼女が言うには、一般的な病院もすべて精神病院に変わるのはそう遠くないと冗談を言っていましたが、みんなストレスで発狂寸前のようです。
アパートもこのように柵があり出られない状態です。
しかしこれでは火事になったらどうするんだという苦情も多いです。
買い貯めをしていない
話を聞いた人たちは、みな買いだめをしていなかったことを後悔していました。
というのも、当初はロックダウンは4、5日という発表だったからです。
その後、突然全都市がロックダウンして、一歩も外に出られない状況になったのです。
また、急なロックダウンだったため、物資の準備もされておらず、1回目の配達があるまで10〜2週間かかりました。
その間、アパートごとに注文できるという“团购:tuán gòu”もありましたが、配送費や食べ物の値段が爆上がりして市民たちの大反感を買いました。
現在は正常な価格に戻ったようです。
金欠におちいる人たち
ロックダウンしているため仕事にも行けず、給料も出ないので、食料も買えない状況に陥る出稼ぎの人も多くいるようです。
抖音:dǒu yīnという中国版のTikTokで泣きながら現状を訴える人たちの動画も拡散されています。
ロックダウン中は補填が出る会社も少なく、仕事しない分はしっかり差し引かれるというのが一般的なのです。
どんな物資が届くの?
物資は上海市に住むすべての住人に配られます。
住んでいる地域や住宅区域によって配給されるものも異なるのですが、上海在住の中国人の知り合いたちから写真を送ってもらったので紹介します。
まずこれが二人暮らしの1家庭分が受け取った5回分の物資です。
物資は無料で提供されます。
こちらは4回分の物資です。ロックダウン期間が地域によって多少ちがうので支給回数も異なります。
薬が配給されているのはユニークですよね。
次も2人住まいの家庭です。
こちらは牛乳がありますね。卵もあります。
次のは一人暮らしの家庭です。やはり量は少ないですね。
ロックダウンから3週間で、まとめてこれが届いたそうです。
他に、仕事先の食堂に閉じ込められて、帰れなくなった人もいるんですが、これがさきほど届いたそうです。
インスタントラーメン12袋とソーセージ2パックですね。
食堂などのお店にはまとめて送られて来ます。
また、食べ物ではなく生活用品が届く場合もあるようです。
上海人と出稼ぎに来た人では物資の内容ちがうの?
上海人と出稼ぎに来た人では物資の内容ちがうとはネット上で話題になっています。
上海人数人に上で紹介した物資を見せて確認したところ、ほぼ同じだということです。
住んでいる場所によって異なるので、上海人と出稼ぎの人の誤差はあるのではと言っていました。
一度だけ豪華な物資があったそうです。
この1回だけは豪華で、それ以外は上の写真と同じだったそうです。
ほぼ毎日のPCR
住民はほぼ毎日のPCR検査と採血する抗体検査をしているそうです。
筆者がPCRを受けたときの動画もありますので、どんな感じかわかると思います。
またPCRでは集団で受けることになり、それが原因で感染が拡大したとも言われています。
陽性者と陰性者を一緒に集めたとして、市民が怒り抗議している動画が出回ったりもしました。
上海市は陽性者が出た区域ではPCRを直接部屋に出向いて行うと発表したのです。
PCR検査で感染が広がったことを認める形になりました。
強制隔離
PCRの結果や行った場所などはすべてスマホ上で管理されています。
PCRの結果が陽性だった場合は、防護服のひとたちがやってきて、強制隔離されます。
隔離も暴力的だったりする動画が出回ることもあります。
また陽性者が出た場所に出会わせた人も隔離対象になります。
(この場合はほとんど自宅隔離)
知り合いの日本人の方も陽性者が出たデパートにいたために自宅隔離になりました。
(3日自宅隔離、その後11日は区域内は活動OK)
ペットがたたき殺される?
ペットが叩き殺される動画が拡散されて話題を呼びました。
これは飼い主が強制隔離としてその場で連行され、残されたコーギーが防護服を来た男性に叩き殺されるのを撮影した市民がUPしたものです。
他の動画も出回りましたがすべて当局に削除されました。
これをきっかけに、WHOが出した「ペットはコロナウイルスを媒介しない。」というポスターの中国語版が拡散されました。
我が家にもミニチュアシュナウザーという犬がいて、その情報交換チャットルームみたいのがWeChat内にあり、そこに妻が入っているのですが、そこで回ってきたようです。
新しくできた単語「無害化」
最近、広まった単語に“无害化:wú hài huà”(無害化)というのがあります。
これはどういう意味かと言うと、ペットを殺すことです。
例えば、野良犬は日本では保健所につれて行かれますね。その後、ドリームボックスと呼ばれる部屋に入れられて、二酸化炭素を充満させて窒息死させるわけです。
これは以下の記事でも紹介しています。
中国の場合は、“打狗队:dǎ gǒu duì”と呼ばれる棒を持ったおじさんたちが叩き殺すのが一般的です。
ちなみに、妻の実家にも来ました。“豆豆:dòu dou”という名前のプードルがいるのですが、外を自由に動き回っているんですね。
それを野良犬だと思った棒を持ったおじさんが、「これ誰の犬だぁ〜。」と叫んでいたのをお義母さんが聞いて、慌てて名乗り出たのです。
おじさんは危うく叩き殺すところだったと言っていて鳥肌が立ちました。
また、妻の知り合いは田舎で8匹の犬を飼っていましたが、そのうち5匹は処分されてしまったのです。
このような習慣があるので、今回のことが起こっても驚くことはないのは事実です。
ペットの飼い主たちがまとめた対策法
ペットの飼い主さんたちは心配でたまりません。
そこで自分のペットたちを守る対策法もまとめられました。
結論は「同じマンションに住む人に預ける。」です。
ほかのアイデアも検討されていましたが、不確実要素があるのです。
- ペットホテルに預ける→ペットホテル自体が封鎖されている可能性がある。また、道が封鎖されていて、ホテルまで到達できない可能性もある。さらに、道中で処分される危険性も。
- 隔離ホテルにペット同伴を申請する→今まで成功例がない。隔離中にホテル側から「無害化同意書」に強制的にサインを迫られる場合も。
- ペットがいることを理由に自宅隔離を申請する→成功例なし。
上海は隔離施設が不足しているから強制隔離まで18時間の猶予があるので、その間に同じマンションの住人に預けるのが得策です。
役所が用意したペットの集団隔離施設もあるところがあるようですが、そこでも叩き殺された例があるので信用はされていないようです。
また、強制隔離で、ペットを自宅に残すように言われる場合もあります。
この場合は餓死してしまう可能性が高いです。
音声配信でもくわしく解説していますので、聞いていただけるとうれしいです。
上海の周辺地域
周辺都市の情報も付け加えておきます。
筆者の住んでいるところは上海から車で2時間程度の浙江省寧波市というところです。
こちらは一度、準ロックダウン状態になりましたが、4日で解放になりました。
マンションは囲いがつけられて物理的にブロックされてしまいました。
周辺のホテルは上海から隔離されてきた人たちでいっぱいです。
上海の隔離施設だけでは足りないようです。
そして、こちらの大学で感染があったのですが、ホテルの部屋はうまってしまっているので、別の都市へ3,000人の学生が連れて行かれました。
最後までありがとうございました!
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