中国語の発音が上手にできないと悩んでいるあなた。
CDの発音を一生懸命マネして、なかなかできずにがっかりしていませんか?
ボクは当時まったくできずに
落ち込んでいました。
ではどうしてできないのか?
よく考えてみてください。
CDに録音されているプロの発音をしようとしているのです。
つまり
「大半のネイティブより上手になろうとしている」のです。
さらに日本とちがうのは
日本の何倍もの方言やアクセントが存在しているということ。
例えば、以下の動画は中国各地のアクセント(方言ではなく、標準語のなまり)の一部を紹介した動画です。
中国語が上達すると発見できるのですが、
少数民族や年配のひと、
架橋や香港のひとたちの発音など
外国人っぽい発音をするひともかなりたくさんいるのです。
他にボクが浙江省の嵊州:shèng zhōuというところで撮影した動画では、
おじちゃんも地方のアクセントがありますね。
標準的な発音をするひとたちでも
ひとそれぞれアクセントや強弱、リズムがありますよね。
「正しい発音」なんて存在しないのです。
あなたの発音でいいんです。
発音の練習はこの記事ににくわしく書きましたので
発音をまだやってないひとは参考にしてもらえるとうれしいです。
CDの音声を到達すべき目標としているようですが、ネイティブたちはCDのように発音しません。
また、多くのネイティブですらCDのように発音できないのです。
浙江省寧波市というところ出身の妻の親戚たちも標準語はあまり上手じゃないひとが多いですね。
おじいさんやおばあさんたちは標準語が話せないひともたくさんいます。
田舎のひとは特になまりが強いですね。
この記事では、
・中国語のよくある発音
・声調がピンイン通りでない例
・台湾や香港のひとたちの話し方
をくわしくみていきましょう。
そして「発音」に時間をかけすぎないことと
発音への正しい理解を深めていきたいと思います。
声調もさまざま
声調は年齢や地域によってさまざまです。
実際に中華圏で、異なる地域・年齢のひとたちと交流すると、
発音に正解はないということがよくわかります。
例えば以下の動画を見てもわかりますね。
声調は標準的な発音とはちがいます。
なので、発音がうまくできないからといって、心配する必要はないのです。
第三声+第三→第二声+第三声?
声調変化では以下のような規則があると参考書には書かれていますね。
第三声+第三声→第二声+第三声
3声がつづくと、手前が2声で発音されるということですね。
例をみてみましょう。
“你好:nǐ hǎo”これは第三声+第三声ですね。
実際の発音は“ní hǎo”(第二声+第三声)となるとされています。
しかし、ネイティブはこのようなルールを知らない人が多数います。
妻もそうでした。
この話をすると
「え?知らない。」と言っていましたね。
でも「ただルールを知らないだけで、実際は第二声に変えて読んでるんじゃないか?」と思ったのですが、
「“你好”は“nǐ hǎo”でしょ?」というネイティブが多かったですね笑
話しているなかで、第二声で読むことも多いですが、正しいのは「第三声」と認識しているようです。
zhi, chi, shi, ri
同様に発音も「正解」はありません。地域や年齢によって、さまざまです。
たとえば
zhi→zi
chi→ci
shi→si
ri →zi
と発音するひとは多いです。
おそらく人口でみたら大多数がこのように発音しますね。
具体的には
“知道:zhī dào”→“zī dào”
“吃饭:chī fàn”→“cī fàn”
“我是:wǒ shì” →“wǒ sì”
“日本:rì běn” →“zì běn”
というようになるわけです。
ここまでいかなくても、「zhi, chi, shi」ははっきり発音しない場合がほとんどです。
南の方がそうですね。
ということは人口の大半が「zhi, chi, shi」をはっきり発音しないと言うことになるので、
安心してください笑
しかしこれを「じー、ちー、しー」と発音すると日本人っぽくなります。
以下で紹介しますが、香港人も似たような発音をするひとが多いです。
“l”と“n”
ほかには“l”と“n”が区別できないパターン。
“刘:liú” →“niú”
“牛:niú”→“liú”
“奶奶:nǎi nai”→“lǎi lai”
こうなってしまうひともいます。
湖南省など南方で顕著ですね。
日本語を教えていても、湖南省出身の子は「らりるれろ」が「なにぬねの」になってしまうことが多かったですね。
「ありがとう」も「あにがとう」のような発音になってしまいます。
“l”と“n”を練習するこんな早口言葉もあります。
刘奶奶找牛奶奶买牛奶,牛奶奶给刘奶奶拿牛奶,刘奶奶说牛奶奶的牛奶不如柳奶奶的牛奶,牛奶奶说柳奶奶的牛奶会流奶,柳奶奶听见了大骂牛奶奶你的才会流奶,柳奶奶和牛奶奶泼牛奶吓坏了刘奶奶,大骂再也不买柳奶奶和牛奶奶的牛奶。
ài→nài
以下の動画は東北出身の梦参老和尚というひとなのですが、
“爱:ài”→“nài”
“恶:è” →“nè”
と発音します。
東北だから標準的な発音をするというわけではないです。
ボクも吉林省に行ったときにわかったのですが、
zhi→zi
chi→ci
shi→si
ri →zi
と発音するひとが多かったです。
r→y
“让 ràng”→“yàng”
“肉:ròu”→“yòu”
“认真:rèn zhēn”→“yèn zhēn”
このように発音するひともいます。
南方特有というわけではなく、ひとつ前で紹介した東北出身の梦参老和尚もこう発音しますね。
色:sè→sài
“色:sè”→“sài”
“颜色:yán sè”→“yán”
“红色:hóng sè”→“hóng sài”
このように“色:sè”→“sài”と発音するひともいます。
おじいさん、おばあさんに多い印象ですね。
e→o
“和:hé”→“hó”
“恶:è” →“wò”
このように“e”を“o”で発音するひとも少なくないですね。
安徽省出身の淨空法師もこのように発音しています。
dàn→dài
“蛋糕:dàn gāo”→“dài gāo”
“鸡蛋:jī dàn” →“jī dài”
妻の働いている喫茶店のボスや妻のお母さんたちはこのように発音しますね。
寧波市というところなのですが、そこの特徴でしょうか?
しかし方言では“蛋糕”→「デーゴー」のようになるので、方言ともちがいますね。
年配のひとだけというわけではなさそうで、ボスは30代ですが、このように発音しますね。
er→e
“二:èr”→“è”
“儿子:ér zi”→“é zi”
“耳朵:ěr duo”→“é duo”
このように発音するひとは南の方に多いですね。
“去哪儿”も“儿”は発音せずに“去哪”と言います。
台湾も巻き舌の“r”を発音しないひとが多いです。
f→h,h→f
“福建:fú jiàn”→“hú jiàn”
“衣服:yī fu”→“yī hu”
福建省のひとが、“福建:fú jiàn”を“hú jiàn”と発音するのがネタにされたりしますね。
逆に“h”を“f”で発音することもあります。
“花:huā“→”fā“
“活:huó”→“fó”
これは広東語圏のひとに多いですね。
広東語では“h”の発音がないことに由来しているようです。
日本語を教えていたころは、日本語の「ふ」を“fu”と発音するひとが多かったですね。
s→x
“四:sì”→“xì”
“思:sī”→“xī”
香港のひとに多い発音ですね。
完全な“xī”ではなく「スィー」といった感じです。
“前鼻音”-nと“后鼻音”-ng
ピンインでは“-n”で終わるものと“-ng”で終わるものがありますね。
たとえば
民:mín
明:míng
これは発音でも識別しない(できない)ネイティブは多いです。
「気にしないだけで、“-n”か“-ng”かはわかってるんじゃない?」と思ったのですが、
わからない拼音とかを聞くと
「あれこれ前鼻音(“-n”)だっけ?后鼻音(“-ng”)だっけ?」と迷う人が多かったです。
ちなみに妻もよくまちがえます笑
タイピングのときは拼音を使うので、“-n”なのか“-ng”なのかは知っておいた方が便利ですね。
便利な方法があります。
日本語での音読みで「〜ん」となるものはピンインでは“-n”となります。
“-ng”とはならないということです。
例:
安(あん)→ān
山(さん)→sān
難(なん)→nán
乱(らん)→luàn
間(かん)→jiān
ぎゃくに日本語の音読みで「〜ん」とならないものはピンインは“-ng”となります。
例:
静(せい)→jìng
寧(ねい)→níng/nìng
京(きょう)→jīng
動(どう)→dòng
濃(のう)→nóng
ボクはタイピングでピンインが“-n”だか“-ng”だか思い出せないときは、このルールを使って識別しています。
cuò→chuò
“不错:bú cuò”→“bú chuò”
香港のひとはこのように発音するひとが多いですね。
香港人が話す普通語も特徴的で、聞いたらすぐわかるということが多いようです。
くわしく見てみましょう。
香港式普通話
香港のひとは広東語が母国語であるため、普通話が上手じゃないひともたくさんいます。
“港普:gǎng pǔ”(香港式普通话)として香港スターたちもよくテレビでネタにされたりしていますね。
あのジャッキーチェンも初期の頃は上手じゃなくて、笑われたそうです。
ドラマや映画でも香港式普通話をネタにする場面も多いです。
またYouTubeでも香港の道ゆくひとに普通话を読んでもらうという企画がありました笑
ぼくも当時、「香港人よりは中国語上手になったじゃん笑」と言われて自信をもったのを覚えていますw
台湾の普通話
台湾では普通話を“國語:guó yǔ”と呼びます。
日本では「台湾華語」と呼ばれることもありますね。
このような台湾アクセントは“台湾腔:tái wān qiāng”と呼ばれます。
アクセントやいくつかの使う単語がちがったりしますが、意思疎通はまったく問題ないです。
発音のちがいは以下のようなものがあります。
“液体:yè tǐ”→“yì tǐ”
“和:hé”→“hàn”
“包括:bāo kuò”→“bāo kuà”
また声調も大陸とちがう場合もあります。
“期待:qī dài”→“qí dài”
“法国:fǎ guó”→“fà guó”
“企业:qǐ yè”→“qì yè”
“相亲:xiāng qīn”→“xiàng qīn”
さらに台湾では軽声で読むことは少ないです。
“认识:rèn shi”→“rèn shì”
“厉害:lì hai”→“lì hài”
東北地方のアクセント(东北腔)
東北地方(遼寧省・吉林省・黒竜江省)も独特のアクセントが有名です。
使う単語が普通话とちがうものが多いのもありますが、声調
第二三四声
“出去:chū qu”→“chǔ qu”
“得到:dé dào”→“dě dào”
“媳妇儿:xí fùr”→“xǐ fùr”
ほかにはピンインの“o”を“e”で発音することも多いです。
“博士:bó shì”→“bé shì”
“破:pò”→“pè”
CDで発音を練習するということ
以上みてきたように、ネイティブも地域や年齢によって発音もアクセントもそれぞれだということがわかりましたね。
中国語学習者はCDの音源に近づけるよう頑張りますよね?
しかし、これが徒労であることに気づかなければなりません。
ネイティブですらCDの音源のような「標準的」な発音ができないひとが多いわけです。
また、ネイティブもCDのように発音するというわけではないのです。
まして外国人である私たち初学者が1年やそこらでできるわけではありませんね。
よって発音をCDに近づけるよう頑張るのはやめましょう!
発音が上手にできないからといって落ち込む必要もありません。
この記事を読んで中国語の発音に「正解」はないということがわかったあなたは
ひとつ「悟った」ということです。
中国語マスターの道を歩き出したわけです。
わたしたちが目指すべき目標
字を書くときにお手本どおりに書こうとしませんよね?
フォントもたくさん存在しますが、
おなじような字は書けないし書こうとも思わないですよね?
丸文字、角張った文字、どせいさん文字などなど
たとえ字がきたなくても理解できます。
そして字から個性が伝わりますよね?
中国語という外国語の、ましてや発音を
お手本通りに……なんてちょっと傲慢な考えかもしれません。
「相手に伝わる発音」これこそが
わたしたちが目指すべき目標です!
こんな動画も中国でバズりました。
中国語の発音を模倣した動画ですね笑
では、今日は以上です。
ありがとうございました。
以下の記事で基本的なピンインは習得できます。
コメント