みなさんは、独身ですか?
中国ビジネス情報誌『商界』第692期に紹介された記事から紹介します。
今回の記事は独身について、1人での暮らしの様子も紹介されていました。
動画版の解説はこちら↓↓
お一人様の経済
中国では独身の人口が増加中です。
“一人住:yī rén zhù(一人暮らし)一人吃:yī rén chī(一人で食事)一人游:yī rén yóu(一人で遊ぶ)”こういったことが今の中国のトレンドになっています。
そして、お一人様が増え、その消費も増加していることから「お一人様の経済」という用語も登場しました。
これは一人用の電気製品やゲームなど独身で一人暮らしの人をターゲットにしたビジネスも勢いを増している証拠なのです。
ジムに行って、ヨガをして、旅行して、猫ちゃんのお世話をして…やることが多すぎて恋愛なんてしてる場合じゃないという人も多いのです。
独身人口が急上昇中!
中国では2018年の成人独身者の人口が2.4億人(日本の人口の約2倍)に達しました。
そのうち7700万人が一人暮らし (2021年には1億人に達する予想)だと言います。
一般的に独身というと、成人してから結婚するまでの一定の期間の概念を指しますが、晩婚化もあり今ではその期間も長くなったと筆者は言っています。
上海の初婚年齢
2005ー2018年の上海での初婚年齢の推移は:
男性:25.3→30.65歳
女性:23 →28.81歳
約6歳初婚年齢が遅れています。
江蘇省の初婚年齢
江蘇省では2017年の平均結婚年齢は34.2歳
さらに初婚年齢の平均は
男性:33.1歳
女性:31 歳
40歳以上で結婚する人の割合も増加しています。
法律上の結婚可能年齢
中国の法律上で結婚が認められている年齢は
男性:22歳
女性:20歳 となっています。
そして、これより3歳以上遅く結婚した場合は「晩婚」とみなされるのです。
つまりは、
男性:25歳〜
女性:23歳〜 が晩婚であるとされてしまうのです。
記事では、これにそうと、ほぼ全ての国民が晩婚になると言っています。
結婚が遅い人もいれば、一生結婚しないという人もいるのです。
さらにこんな統計も出ています↓↓
日本の未婚率
ここで筆者は日本の状況を参考にできると言っています。
日本政府の統計によると
2015年50歳になって結婚したことない人(離婚は除く)の割合は
男性:23.37%
女性:14.06%
(50歳になっても結婚していない場合は、一生結婚しないものとしている。)
1985年と比べると、独身割合は
男性:5.8倍
女性:3.3倍 にまで増加しました。
晩婚や独身主義が増えた背景
このように晩婚や生涯独身をつらぬく独身主義者が増えた背景には以下のような理由があると筆者は分析しています。
高等教育の普及
高等教育を受けた若者は、独立自由への渇望も大きくなり、結婚が束縛であると解釈する人も増えています。
また、経済発展にともなって若者たちが自分の欲しいものは自分で買え、したいことは自分で実現できるというようになってきたことも原因のひとつだと言います。
社会全体の考え方の変化
他には、社会が発展するにつれて社会の考え方も変化し、人々に寛容になりました。その中でも女性の社会進出が大きく、女性が経済的理由で結婚を選択する必要がなくなったことも挙げられています。
キャリアを築いた女性に、キャリアを放棄して結婚して家庭に入ってもらうことができるでしょうか?
中国は規模が大きいですから、夫婦の出身地がちがうとき、結婚後にずっと同じ場所に住み続けられないということも多く、必然的に会社をやめざるを得ない場合もあるのです。
結婚の条件がきびしい
ほかには中国独特の結婚する際の条件なるものが大きいでしょう。それは、男側は持ち家と車を所有していることが求められます。
さらには結納金のようなものとして数百万円くらい贈る習慣もあるといいます。
(ちなみに、私は何もない状態で中国人妻と結婚しました…。)
ほかには子供の養育費や教育費などがかかれば莫大な費用になりますね。これが若者たちを結婚から遠ざけている理由であることもうなずけます。そして、少子化を招いているのです。
2021年4月に「3人っ子政策」が実施されましたが、3人も産めないという人の意見ではかかる費用がダントツで一番の原因でした。
中国「三人っ子政策」スタート!一人っ子政策からの歴史も解説!
ネットの普及も独身増加の原因!
ネット上では疑似恋愛やネット恋愛、さらに愚痴を聞いてくれる人もいればSNSで友達と話すこともでき、ゲームもあれば動画も見れます。
家に帰った後でも友達との会話を継続させることもできますし、ネット上でこれだけのことができるわけですから、人々は「孤独」を感じることが少なくなったと筆者は言います。
そして、動画など触れる情報が多くなれば、豊かな暮らしをしている人の生活をのぞいて結婚相手もこういったお金持ちがいい!と思ったり、写真をきれいに見せるアプリが流行れば、結婚相手はこんなきれいな人がいい!と要求も上がるものです。
独身者の消費行動
独身者は生活のクオリティー向上のためにお金を使うことが、既婚者に比べて高い傾向があります。
たとえば、思い立ったらすぐ旅行に出るとか一人で映画を見に行くとか一人で贅沢な食事をとるという消費行動をとる傾向が強いようです。
42%の独身者が「自己満足」のためにお金を使っていて、既婚者の場合は27%という統計もあります。
>>見栄から自己満足の消費へ。新しい消費形態を知ろう
需要があれば供給も出てくるもので、上でも紹介しましたが「お一人様経済」が活発化するのです。
いまでは、半分の野菜や一人前の食器、500gに小分けにされた米や200mlのワイン、ミニ火鍋などお一人様に合わせた商品も増えています。
現在中国では184の企業が「一人食」に関連した商品やサービスを提供しています。
ほかには「ルームフレグランス」って知っていますか?
ライフスタイルを追求する若者も増加していて、ビジネス界でも新たなブルーオーシャンを生んでいるのです。
>>【ブルー・オーシャン戦略】いま中国でルームフレグランスが熱い!
独身増加→ペットブーム
やはり一人は寂しいものなのか、独身人口が増加するとともにペットブームが巻き起こりました。
2019年中国の都市部での犬猫の購買市場規模は2024億元(3兆4300億円)で2018年より18.5%の増加となりました。
その中で、北京・上海・西安・成都では486億元(8200億円)で未婚者の購買割合が57%だと言います。
ペットブームの中国!萌ペットたちがインフルエンサーになって稼ぐ時代。ペットグッズのネット上売上○千億円の大市場!
もしかしたら、犬が寂しさを癒やしてくれて結婚願望がなくなったり、子供の代わりとして犬を飼われるのを防止するためかななんて思ったりもしました…
猫舎って何?中国で就職せず「ペットブリーダー」になる若者急増中!(具体例あり)
お一人様の困難
お一人様にもデメリットはあるもので、2021年3月、中国で浴室から出られなくなった一人暮らしの出稼ぎの女の子が30時間後にやっと隣の部屋の人に気づいてもらえて助け出されたというニュースもありました。
中国では2035年〜2050年が高齢化のピークだと言われています。
予測では2050年の65歳以上人口は3.8億人で全人口の30%に近づいています。
60歳以上の人口では5億に達し、全人口の3分の1を超えると予測されています。
未婚率上昇・晩婚→出生率低下→少子化→高齢化→扶養費増大・経済成長停滞→次世代若者の生活や仕事のストレスUP→未婚率上昇→…。
このような悪循環が始まっているのです。
そしてこのような悪循環はずっと続いていくものではなくて、いずれ社会危機が勃発すると言われています。
90后が2050年の老人
2050年に高齢化のピークを迎えるわけですが、その頃に60歳に達しているのは“90后(jiǔ líng hòu)”と呼ばれる90年代以降に生まれた子たちなのです。
そして、現状を変えるためには今の若者たちの考え方を変える必要があると筆者は言っています。
「若者」は中国経済のキーワードでしたね。若者の行動が中国の未来に大きく影響を及ぼして行くのです。
>>中国のイマドキの若者「横たわり族」?「無一代」?これからの取引相手はこの世代!
結婚する人が少なくなったことで、親の面倒をみる負担も大きくなり、それに伴って「家政婦」が高給取りの仕事になると言われています。
家政婦の給料が急上昇中の中国!清華大学出身の女の子が家政婦に?
住居・就職・教育の改革が最優先
筆者は、細々とした政策よりも【住居・就職・教育】の改革が最優先であると強調しています。
中国では結婚するときに男側が家を用意するのが一般的です。
しかし、家の値段が上昇していて、給料とのバランスがとれていないことやその場所の戸籍があって始めてその地区の家が買えるといった規則がある場所も多いのです。
さらに、田舎から出稼ぎに来た人は都市で家を買うことができず、実家の村で家を買うわけですが、そうなると女性側は結婚後、今いる都市を離れて、見ず知らずの村に嫁ぐということになるわけです。
これも結婚に踏み切れないでいる原因になっていると言います。
しかし、今では住宅バブルは崩壊したとも言われています。政府が意図的に不動産価格を下げるのでしょうか?
【中国バブル崩壊?】不動産価格が暴落中!それを裏付ける5つの理由が中国情報誌で紹介されました
出産後の困難も多い
中国ではおじいちゃん、おばあちゃんが子供の面倒を見るというのが一般的です。
なので、子供ができた場合、家ももっと大きい空間が必要になるということです。
たとえば、今の家を売って別の家を買うとしましょう。
この場合、2軒目の家を購入となると、1軒目を売った売らないに関わらず、必要な頭金は価格の70%(1軒目の場合30%)まで上がり、さらに税やローンの利子も増えるのです。
都市部では家の面積が大きくなればその分かかる税も増えるというところもあります。
仮に子供が2人いた場合、3世代で合計6人(子供の面倒を見るために夫婦どちらかの両親も一緒に住むのが一般的)分の空間が必要になるわけです。
若者たちが結婚したがらないというのはただのわがままではないのです。
背後にはこのような理由があってのことなのです。
結婚する人が減ってきて、離婚する割合が増えている中国では、離婚の条件もきびしくなり、すぐには離婚できなくなりました。
くわしくは→離婚が難しくなった中国!手続き増加&「冷却期間」ができて離婚率低下。3組の実例も紹介
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最後までご覧くださりありがとうございました!
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